埼玉県・秩父市・高橋内科クリニック・内科・消化器科(胃腸科)

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高橋内科クリニック通信

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高橋内科クリニック通信

高橋内科クリック通信は、ホームページの場合は、健康講座のみ掲載しております。実際の印刷したクリニック通信は受付のところにおいております。ご自由にお取りになり、健康や、クリニック情報を見てください。(内容は受付にあるものとホームページで異なることがあります。

 

「C型慢性肝炎の新しい抗ウイルス療法 : インターフェロン・フリー」(平成27年1月号)

新しい抗ウイルス療法はインターフェロンを使用しないで、経口2剤による新しいC型慢性肝炎、肝硬変の治療です。今まで、高齢や合併症などの医学的な理由により、インターフェロン治療ができなかった、無効だった患者さんに対して、高いウイルス学的効果が得られています。また、ダクルインザ・スンベプラ併用療法は忍容性が高い事も知られています。ダクルインザ・スンベプラへ併用療法による治療が可能になった患者さんの場合、C型慢性肝炎の治療ガイドラインでは、この治療法をインターフェロン不適格/インターフェロン不耐応、あるいは前治療の無効のgenotaypeⅠ型症例に対する第一選択として位置づけられています。ダクルインザ・スンベプラ併用療法による治療を行う際の注意点としては、ALT上昇例が報告されていることから、肝機能の定期的なモニタリングを行うこと、また、飲み忘れなどがないように服薬コンプライアンスを十分指導することが必要。 また、ALT値が正常のC型慢性肝炎についての抗ウイルス療法についてです。ALT値が正常のC型肝炎であっても、高齢化のとともに発がんリスクが高まることから、ALT値が31以上の場合には、血小板が高値でも慢性肝炎の治療に準ずることが必要です。インターフェロンを使用しない、経口剤のみの、ダクルインザ・スンベプラ併用療法という新しい、抗ウイルス療法が登場したことにより、C型慢性肝炎・肝硬変の治療は大きな進歩が期待されます。C型慢性肝炎の治療は、年々進歩しております。これまで治療を受けられなかった患者さんにも治療を提供できる可能性があります。ぜひ、この治療の資格を持っている当クリニックの院長にご相談ください。的確なアドバイスをいたします。

 治療期間は1日2種類の内服を24週間施行です。

*Child-Pugh分類:肝機能障害中等度B(7~9点) 、 肝機能障害重度C:(10~15点)の肝機能障害または、非代償性肝硬変のある患者には投与しない。

 

「白い歯が黄ばむ原因となる食品」(平成25年10月)

  1. マッシュルーム:見た目はまったく害のなさそうなヘルシーな食品ですが、歯の白さを徐々に消していきます。
  2. ベリー系フルーツ:ブルーベリークランベリー、さくらんぼ、ぶどう、ザクロの様な色の鮮やかなフルーツは葉の黄ばみの原因になります。また、これらのジュースも同様です。
  3. 赤ワイン、白ワイン:歯の黄ばみ、一番の原因のもの。白ワインのほうが黄色くなります。
  4. カレー、スパイス:カレーの濃いパウダーはターメリック(ウコン)は簡単に歯を黄色くさせてしまいます。
  5. ナッツ、種子類:昔、ナッツはインクや染め物に使われていました。
  6. コーヒー、紅茶:紅茶のほうが、コーヒーよりも歯が黄色くなります。また、カフェインは歯をもろくします。
  7. ソース、酢などの調味料:醤油、ソース、ケチャップ、バルサミコ酢などの色の濃い調味料も歯の黄ばみの原因になります。また、これらに入っている保存料もエナメル質を攻撃します。
  8. キャンディー類:ガム、キャンディー、アイスキャンディーは砂糖が多く、着色料がはいっており、黄ばみの原因になります。

*以上、歯の黄ばみ原因8種類あげましたが、もちろんタベルナというものでなく、食後の歯磨きをしっかりしてくださいと言うものです。
どうしても歯の黄ばみが気になる人は、歯科でホワイトニングを

 

頸動脈エコー(平成22年11月分)

Ⅰ.検査目的

1)適応疾患

脳血管疾患 脳梗塞・一過性脳虚血発作・頭蓋内動静脈奇形・もやもや病
頸部血管疾患 頸動脈狭窄症・高安動脈炎鎖骨下動脈盗血症候群
他の動脈硬化性疾患 心筋梗塞・閉塞性動脈硬化症大動脈解離
高血圧・代謝性疾患 高血圧・糖尿病・高脂血症
自覚症状 めまい・ふらつきなどの精査

 

2)検査目的

  1. 頸部血管疾患
    超音波で得られる範囲に狭窄や閉塞などの病変が  あれば、診断可能である。  脳梗塞や一過性脳虚血発作における塞栓源、  内頸動脈狭窄症や高安動脈炎などの診断に有効。

  2. 頭蓋内血管疾患の推定
    頸部の血流速度や血流パターンが頭蓋内の  血流状態を反映。  脳梗塞や一過性脳虚血の原因としてプラークの破綻に  引き続き起こる血栓による塞栓が重要。

  3. 全身の動脈硬化度の評価
    頸動脈がアテローム性動脈硬化の好発部位  であることに加え、超音波検査を実施する上で、  頸動脈が比較的太い血管であるにもかかわらず  表在を走行し、非浸襲的に動脈を測定できるため、  頸動脈を血管の窓として全身の動脈硬化の評価が  試みられている。動脈硬化症の危険因子の評価として  頸動脈の動脈硬化が強いほどその他の部位の  動脈硬化も進行していると考えられ、心筋梗塞などの   虚血性心疾患や脳梗塞などの脳血管疾患が  発生しやすいと推定できる。   また、糖尿病や高脂血症など動脈硬化を起こしやすい  代謝性疾患において長期的な経過観察に有用。

  4. 手術前の危険度の評価
    人工心肺装置を使用する際の事故回避のため有用。

  5. 治療効果の評価
    非浸襲的検査のため繰り返し検査ができることから、  薬剤、食事療法、運動療法など、動脈硬化の退縮が  期待される治療の効果判定に有用。

 

【ノロウイルス】 (平成22年12月)

ノロウイルスはヒトに経口感染して、十二指腸から小腸上部で増殖し伝染性の消化器感染症(感染性胃腸炎)を起こす。毒素は分泌せずに十二指腸付近の小腸上皮細胞を脱落させ[2]特有の症状を発生させる。死に至る重篤な例はまれであるが、稀に十二指腸潰瘍を併発することもある。特異的な治療法は確立されていない。感染から発病までの潜伏期間は数時間~数日(平均1~2日)で、症状が収まった後も便からのウイルスの排出は1週間程度続く。

2007年5月に報告された厚生労働省食中毒統計による2006年の食中毒報告患者数は、71%がノロウイルス感染症である[3]。ヒトへの感染に於いては血液型で感染率に差があり、血液型抗原であるH(O),A,Leb型抗原に吸着されやすい事から、O型は罹患しやすくB型は罹患しにくいことが報告されている[3]が、ウイルス株による差異もある。ヒト以外では発症しないとされ、発症機序を含め十分に解明されていない。

 

症状

主な症状は、嘔吐・下痢・発熱で、「お腹の風邪」と呼ばれていたことがある。

症状の始まりは突発的に起こることが多く、夜に床につくと突然腹の底からこみ上げてくるような感触と吐き気を催し、我慢出来ずに吐いてしまうことが多い。それも一度で終わらず何度も激しい吐き気が起こり、吐くためにトイレのそばを離れられないほどである。無理に横になろうとしても気持ち悪くて横になれず、吐き気が治まった後は急激且つ激しい悪寒が続き、さらに38℃程度の発熱を伴うこともある。これらの症状は通常、1、2日で治癒し、後遺症が残ることもない。ただし、免疫力の低下した老人や乳幼児では長引くことがあり、死亡した例(吐いたものを喉に詰まらせることによる窒息、誤嚥性肺炎による死亡転帰)も報告されている。

また感染しても発症しないまま終わる場合(不顕性感染)や風邪と同様の症状が現れるのみの場合もある。よく「嘔吐、下痢、腹痛を伴う風邪」という表現があるが、それはノロウイルスなどによる感染症である可能性も低くなく(エンテロウイルス等の他の原因もある)、単なる風邪ではない場合がある。ただし、これらの人でもウイルスによる感染は成立しており、糞便中にはウイルス粒子が排出されている。

 

感染経路

ノロウイルスによる感染症は経口感染が原因で、その感染経路から以下に大別できる。

  1. 飲食物からの感染(感染型食中毒)
    a. 食中毒:ウイルスを蓄積した食材およびウイルスで汚染された食品を喫食して感染。
    b. 水系感染:水道水、井戸水などがウイルスで汚染され、その水を飲み感染。

  2. ヒトからヒト
    c. 感染者の糞便や嘔吐物から手指を介して感染。
    d. 感染者の糞便や嘔吐物に排出されたウイルスが付着し、飛散した飛沫から感染。(飛沫感染或いは塵埃感染とも呼ばれる)
    e. 感染者が十分に手を洗わず調理した食品を食べ感染。

販売あるいは調理提供する食品そのものの衛生管理の(食品衛生学的な)立場からは『飲食物からの感染』のケースが、院内感染などの感染管理の立場からは『ヒトからヒト』のケースが特に問題とされるが、症状や経過には感染経路による違いはない。国立感染症研究所の病原微生物検査情報(2006/2007年の統計)の集団感染事例の集計によると、原因食品が明確ではないケースが約6割を占めており、汚染食品の摂食よりはるかに多い原因となっている。

 

感染予防

上述した感染経路を考慮すると、特に飲食物を扱う人が十分に注意を払うことによって効果的な感染予防につながる。

特に調理者が十分に手洗いすること、そして調理器具を衛生的に保つことが重要である。ノロウイルスはエンベロープを持たないウイルスであるため、逆性石けん(塩化ベンザルコニウム)、消毒用エタノールには抵抗性が強いが、手洗いによって物理的に洗い流すことが感染予防につながる。

また、ノロウイルスは60℃30分の加熱では感染性は失われず、85℃以上1分間以上の加熱によって感染性を失うため、特にカキなどの食品は中心部まで充分加熱することが食中毒予防に重要である。生のカキを扱った包丁やまな板、食器などを、そのまま生野菜など生食するものに用いないよう、調理器具をよく洗浄・塩素系漂白剤による消毒をすることも大事である。

洗浄と消毒の順番については第1に洗浄(と充分なすすぎ)、第2に消毒である。この順番を逆にすると効果が弱くなってしまう。

塩素系漂白剤については、至適濃度に関するデータは無い。「濃い原液を使えばより効果があるだろう」という考えもあるし反対意見もある。原液の濃度にもよるが、濃度の高い液はアルカリ性であるため、アルカリに強い菌種では消毒力は薄めたものよりもかなり低くなってしまうケースもある。しかし、ノロウイルスについては細胞内培養法が確立していないため最も不活化されるpHに関するエビデンスがなく、この結果、消毒薬の至適濃度に関するエビデンスもない。現状では説明書通りの使用がよいと考えられる。


生食用カキの食品衛生法の規格基準においてノロウイルスに関する基準は設定されていないので、「生食用」と表示された場合でも「ノロウイルスがいない」という保証があるわけではない。消費期限内であるか否かにかかわらず感染源となる場合もありうる。ただし、自主的に検査を行っている水産加工業者などもかなり増え、カキの生食が一律に危険というわけではない。過剰な反応に対しては風評被害という指摘もされている[6]。もちろん、検査義務が法制化されているわけでも全ての業者が自主検査を行っているわけでもない。そして、自主検査におけるサンプリングの妥当性および出荷見合わせの有効性は確認されていない。よって、一律に安全なわけでもない。厚生労働省や保健所もカキの生食用販売を積極的には禁じていないがカキ等の二枚貝については充分加熱した後に食べるよう呼びかけている。

乾燥した糞便や嘔吐物から飛散したウイルスを吸い込んだり、または接触することにより感染するため、感染者の糞便や嘔吐物を処理する場合は、手袋・マスクを使用し直接手で触れないよう注意し、作業後は手をよく洗うよう心掛ける。汚染物は飛散せぬよう袋に密閉し処分する。汚染された場所を消毒する際、前出のようにノロウイルスは逆性石けんや消毒用エタノールに対する抵抗力が強いため、これらによる消毒はほとんど効果がない。現在細胞をもちいても培養方法が存在しないため消毒つまりウイルス不活化に対する確証は得られていないが、次亜塩素酸ナトリウムに対する抵抗力は比較的弱いのではないかと想像されている。感染者のいる場合、トイレ・ドアノブ・蛇口・手すりなどは汚染しやすい箇所であるため、汚れを落とした後に消毒する。ノロウイルスは症状が消失した後も3〜7日(場合によっては2週間以上)はウイルスが排出されることに留意しなくてはならない。消毒対象が布などの耐熱性のあるものの場合、スチームアイロンの活用も有効である。

なお、2010年現在ノロウイルスに対する有効なワクチンは開発されていない。また、このウイルスに対する免疫は感染者でも1-2年で失われるといわれている。原因は免疫抗体価低下説やウイルスが変化するため抗原性が変化するなどの説があるが、まだ確証は得られていない。このためワクチンの開発には困難が予想される。

 

嘔吐・下痢の対処法

感染性胃腸炎がおさまりません。冬は最近は、毎年、胃腸炎が増えるようになってきました。インフルエンザと同じように、ウイルスによるもの、細菌によるものなど原因は多彩ですが、治療、対処法を簡単に述べます。

ウイルス性および細菌性胃腸炎の治療

  1. 基本的治療・・・ORS(oral rehydration solution)などによる経口補液、または、経静脈輸液による水分補充と電解質の補正

  2. さらにBRAT(Banana, Rice, Apple, Toast) を中心とした食事療法、乳酸菌製剤などの投与でほとんどが1週間以内に軽快する。

  3. 細菌性下痢症。特に腸管出血性大腸炎によるものを否定できない場合(夏季に周囲で発症いるなど)は、FOM、カナマイシンを投与せざるを得ない。その場合には抗生剤に耐性の整腸剤を併用する。

  4. 経口補液は吐き気、嘔吐がなければ、時間と場所を問わず、家庭においても行える、もっとも確実、簡便な水分、電解質の補充法である。経口補液製剤としてはソリタT2 号顆粒とソリタT3号顆粒がある。軽症例ではT3号補液製剤でかまわない。
    市販のスポーツドリンクは電解質濃度が低く、逆に糖質の含有量が多すぎるので治療には使用できない。

 

インフルエンザについて(平成23年2月分)

厚生労働省の資料参照

インフルエンザとはどんな病気ですか。

  1. ! インフルエンザウイルスの感染により、突然の高熱と全身のだるさ、筋肉痛などの全身症状が現れることが特徴。
  2. ! 通常、高熱が数日持続し、1週間程度で回復。
  3. ! 時には、合併症を伴い重症になることも。
  4. ! インフルエンザは、その年により流行の程度に差があるが、我が国では通常、11月から12月に始まり、翌年の1月から3月ごろの間に患者が増加します。

感染の拡大を防ぐためにはどのようにしたら良いですか。

  1. ! 一人一人がインフルエンザにかからないようすること、また、かかってしまった時には、他の人にうつさないようにすることが大切です。

インフルエンザにかかったら、どのようにすればよいですか。

  1. ! 水分(お茶、ジュース、スープなど)を十分に補給しましょう。
  2. ! 安静にし、十分な休養を。学校や職場は休みましょう。
  3. ! 早めに医療機関を受診して治療を受けましょう。
  4. ! 周りの方へうつさないために、マスクをつけましょう。(咳エチケット)。外出を控えましょう。
  5. ! 薬を使う時には、医師や薬剤師の指示に従い正しく使用してください。薬を使用していて何か異常だなと感じるような場合は、早めに医師・薬剤師・などにご相談ください。

インフルエンザにかからないためにはどうすればよいですか。

  1. ! インフルエンザシーズン前にワクチン接種を受けることが、予防の基礎です。
  2. ! うがいや手洗いをしましょう。
  3. ! バランスのよい食事と、十分な休養をとり、疲労を避けましょう。
  4. ! 室内の湿度を50~60%に保ちましょう。
  5. ! 人込みや繁華街への外出を控えましょう。もし外出するときにはマスクを着用すると良いでしょう。

 

花粉症の疫学と治療

花粉症は誰もが認める増加している病気ですが、どの程度の患者がいるのかはっきりとしたデータはあまりありません。その中で日本アレルギー協会会長の奥田稔が行なった住民台帳を基準にした疫学調査は1万人を対象とした今までにない大規模なものでした。回収率も56%と全国規模のアンケート調査としては良好でした。その調査によると全国平均では15,6%で地域別の有病率では東北13.7%、北関東21.0%、南関東23.6%、東海28.7%、北陸17.4%、甲信越19.1%、近畿17.4%、四国16.9%、中国16.4%、九州12.8%で北海道、沖縄はごく少ない有病率でした。ある最近の調査によるとスギ花粉症の有病率は全国で20%を超えると報告されています。少なくともスギ花粉症はアレルギー性鼻炎全体と共に増加していることは明白であり、注意が必要です。

また近年では花粉症発症年齢の低下が叫ばれています。我々は成人男女958名を対象としてその子供を含めたアンケート調査を行いました。スギ花粉症の有病者はハウスダスト・ダニアレルギーを合併しているものも含めると母集団では377名(39.3%)、平均12.17歳である子供たちの集団では167名(16.1%)とやはり成人での有病率が高くなりました。しかし、それぞれの集団で15歳までの発症率を見ると母集団では5.3%に対し、その子供たちの集団では9.7%と約2倍に上昇し、花粉症の低年齢化を示していました。花粉症の有病率は刻々と変化をしていますが、現在の状況では極端に減少することは考えられません。今後引き続いての調査が必要と考えます。

 

スギ花粉について

スギ林の面積は全国の森林の18%、国土の12%を占めています。このためか花粉症の患者さんの約70%はスギ花粉が原因です。しかし花粉量には地域差があり、森林面積に対する比率では九州、東北、四国で高くなっています。北海道にはスギ花粉飛散は極めて少なく、沖縄にはスギが全く生息しません。関東・東海地方ではスギ花粉症患者が多く見られます。ヒノキ科花粉症も見られますが、スギの人工林がより多いのでスギ花粉が多く飛散します。関西ではスギとヒノキ科の植林面積はほぼ等しいですが、今のところヒノキ科は幼齢林が多く、東日本よりヒノキ飛散の割合が多いと考えられています。

スギをはじめとする風によって花粉を運ぶ植物(風媒花)は虫などが花粉を運ぶ植物(虫媒花)よりも多量の花粉をつくり、花粉が遠くまで運ばれるので花粉症の原因になりやすいと考えられています。原因となる花粉の種類は多く、日本ではこれまでに50種類以上の原因花粉が報告されています。 このような花粉症を引き起こす風媒花には、樹木ではスギやヒノキの他にシラカンバ、ハンノキ、ケヤキ、コナラ、ブナ、オオバヤシャブシなどがあります。草本ではカモガヤなどのイネ科の花粉症が多くなってきていますが、他にブタクサ、ヨモギなどキク科の植物があげられます。主な花粉の飛散時期つまり症状が出現する時期はスギ、ヒノキなどの樹木では春が中心ですが、イネ科の場合は初夏に、キク科の場合は真夏から秋口に飛散します。

世界的な温暖化の影響でスギ花粉飛散数も増加が予想されます。気象庁によるシュミレーションでは関東のスギ林密度も増加する傾向にあります。

 

鼻や眼の機能と花粉症

鼻の機能は呼吸する空気の加温、加湿、防塵です。花粉が鼻粘膜からはいると表面についた花粉は鼻の粘膜の上皮細胞にある線毛がベルトコンベアのように働く事により鼻の外に運び出されます。運び出されなかった花粉は鼻の粘膜に付着し、抗原成分を鼻粘膜にしみこませます。鼻の粘膜の中にはアレルギーの細胞である肥満細胞があります。スギ花粉症患者さんの場合にはスギ花粉に対するIgE抗体が肥満細胞のまわりに結合しています。このIgE抗体が溶けだしたスギ花粉の抗原成分を捕らえて結合して肥満細胞が活性化し、反応を生じます。その結果、放出されたヒスタミンが鼻粘膜表面の神経を刺激し、くしゃみを起こし反射的に鼻汁の分泌を生じさせます。さらにヒスタミンは血管を刺激して鼻づまりの症状を引き起こします。繰り返しスギ花粉との接触が多くなると、花粉症の症状は強まります。結膜も肥満細胞上のIgE抗体と結膜の表面で溶けだしたスギ抗原成分が結合してヒスタミンが放出されます。ヒスタミンも同じく結膜表面の神経を介して痒みを生じ、反射性に涙の分泌が増え、神経の過敏によって異物感が強くなります。掻痒感が強い場合にはドライアイという乾く目の病気の合併の可能性があります。厚生労働省の研究班の調査ではスギ花粉症では発熱などの全身症状はすくないものの、口の渇き、咽の違和感、皮膚のかゆみなどの鼻や眼以外の症状を訴える方も多いことが分かって来ています。これらの鼻や眼以外の症状は今後

 

スギ花粉症の治療

花粉症の治療は他の鼻や眼のアレルギーの治療と基本的には同じですが、急激に花粉にさらされるため、急性の強い症状への配慮も必要となります。治療法を大きく分けると、症状を軽減する対症療法と根本的に治す根治療法の二つがあります。

 

対症療法:

内服薬による全身療法

点眼、点鼻薬などによる局所療法

鼻粘膜への手術療法

 

根治療法:

原因抗原(花粉など)の除去と回避

減感作療法(抗原特異的免疫療法)

対症療法として抗ヒスタミン薬(第一世代、第二世代)、化学伝達物質遊離抑制薬、ロイコトリエン拮抗薬などの内服や点鼻、点眼、そしてステロイド薬の点鼻、点眼などが組み合わせられます。鼻の症状ではくしゃみ、鼻汁が強い症状の場合は第2世代抗ヒスタミン薬が多く使われます。鼻閉が症状の主体である場合にはロイコトリエン拮抗薬がよい適応となります。どの症状も中等症以上になった場合には主として鼻噴霧用ステロイド薬がもちいられます。より鼻づまりが強い場合には点鼻用血管収縮薬や時に内服のステロイド薬を使う場合があります。この内服ステロイド薬は2週間を目途として使用します。全身性のステロイド薬の筋肉注射はアレルギー専門の施設ではその副作用の問題からほとんど行われていません。眼の症状に対しては抗ヒスタミン薬の点眼液、化学伝達物質遊離抑制薬の点眼液がその主体となりますが、症状の強い場合にはステロイド点眼液を使用することがあります。この場合には眼圧の上昇に注意が必要です。現在、アレルギー治療薬の使用方法として花粉飛散開始とともに薬剤の投与を始める初期治療が一般的であり、季節が始まって症状が出現してから薬剤を服用し始めるより効果が高いことが分かっています。副作用としては、抗ヒスタミン薬は多かれ少なかれ眠気が出ることがあります。鼻噴霧用ステロイド薬は局所のみで血液中に入らないため副作用は少なくなっています。血管収縮薬は使いすぎると血管が薬剤に反応しなくなり逆に拡張し続けるため鼻閉がひどくなることがあり、注意が必要です。市販薬の点鼻薬にも含まれていますので注意して使用しましょう。

減感作療法は抗原特異的な免疫療法とも呼ばれ、花粉の抽出液の濃度を少しずつ上げ注射して、身体を花粉に慣らす(花粉に対し防御する免疫を獲得する)ようにさせる方法です。週に1ー2回の注射で進みますが、維持量からは2週間に1回を2ヶ月間続け、その後1ヶ月に1回の注射となります。これは体質改善のため2年以上続けることが重要です。やめた後でも効果が持続するのがこの治療法の特徴であり、2年以上続けた患者さんの約60%の方に効果が持続しています。

 

花粉症のセルフケア

ご自分でできるセルフケアとしては外出時にマスク、めがねをして、原因の花粉を少しでも体の中に入れないようにする努力が必要です。花粉症用のマスクでは花粉が約1/6、花粉症用のめがねでは1/4程度に減少することが分かっています。また花粉情報に注意し、花粉飛散が多いときには無駄な外出は避けるようにしてください。家にいる場合でも、花粉飛散の多いときには窓の開け閉めに注意をしましょう。もし、外出する場合にはけばけばした花粉のつきやすいコートを着ることは避けましょう。外出から帰ってきてもすぐに顔を洗い、うがいをすることをお勧めします。全く症状をなくすことは不可能ですが、少しでも症状を軽くすることができると考えます。鼻粘膜の状態を良くするように、悪化の因子であるストレス、睡眠不足、飲みすぎなどを抑えることが必要です。軽い運動などは花粉防御をしたうえでは推奨されると思われます。セルフケアと医師、薬剤師による治療を含め、花粉症の季節を快適に過ごせるよう努力してみてください。    厚生労働省の資料より。

 

【健康講座:疲れの回復術】(平成23年4月分) 

  • 休みたい、、、、。でも休めないときは?
    疲れを即効でとりたいときは、カフェインが入ったコーヒーなどの飲み物が効果的。交感神経が働いて、集中力が高まります。しかし、根本的には疲労は解消していないことを理解すること。コーヒーは1日1=2杯が、胃にも膵臓にも安全です。

  • 仕事が忙しくて睡眠不足!?
    睡眠時間まで削ってまで、仕事をがんばっているのに、いまいちはかどらないということもありませんか?そんなときは、昼寝がおすすめ!昼寝の効用が科学的に実証されています。昼食を食べて、5~30分程度昼寝をするだけで、午後からの仕事がはかどります。

  • 目が疲れて仕事がつらい!
    ついつい仕事に熱中して、パソコンの画面をずっと見っぱなし!ということありますよね。そうならないためにも、こまめに目の疲れを解消したいもの。1時間に1回は、遠くを見たり、目を上下左右に動かしてみましょう。蒸しタオルで暖めるのもおすすめです。

  • 二日酔いになったら?
    朝起きたら、まずは水分をたくさん飲むことが(もちろん程度問題ですが)二日酔い軽減の近道。冷たい水かほうじ茶がおすすめ。そして、ビタミンがとれる柑橘系の飲み物を一杯程度。食事は油濃いものはとらない。最初は水分だけで様子をみて、軽食からスタートです。

 

【逆流性食道炎の食事療法】

食事のポイント

  • 消化の良い食事を心がけ、油ものや繊維色は避ける。
    一般的に油っぽいものや繊維質のものは胃の中でこなれが悪く、胃での停滞時間が長くなり、胃酸分泌が多くなり、逆流の原因となりうるため、摂食を控える。

  • 食べ過ぎない、腹八分目をこころがける。
    胃酸分泌が多くなり、」逆流の原因となる。

  • 肥満に注意(体重コントロール)
    体重減少で、逆流性食道炎の症状は改善する。

  • ガスが発生し、おなかを膨らませるようなもの(炭酸飲料)などは避ける。
    炭酸飲料は下部食道括約筋圧を低下させる。

  • 麺をすするように食べない。
    空気をたくさん飲み込み、げっぷや胃の内容物の逆流につながる可能性がある。

  • カフェインや香辛料を控える
    酸分泌を促進するようなカフェイン、香辛料などは胃酸が多くなり、逆流のリスクが高くなる。

  • アルコールを控える
    アルコールは胃酸分泌を増やすと同時に、下部食道括約筋を緩めるため、逆流性食道炎を誘発する。

  • 食後すぐに臥位ををとらない。(=就寝前に食事をとらない)
    食後で酸分泌が多い状態で、臥位をとることで、逆流性食道炎症状は悪化する。

  • 食後、腹部を圧迫するような姿勢や前かがみの姿勢を控える。
    胃酸が食道に上がりやすくなる可能性があるので、このような姿勢は控えるように心がける。

  • 食後にベルトや帯をきつく締める、また、重いものを持ち上げるような力仕事を避ける。
    腹部の圧力が高まり、胃の内容物の逆流するリスクが高まるため、できるだけ、避けるように心がける。

 

【黄砂が飛んでいる時どうするか】(平成23年6月)

中国の大気汚染物質で注意したい無色透明の二酸化硫黄

1月から花粉症に似た症状が出るのは、二酸化硫黄の影響です。二酸化硫黄は、硫黄を含む石炭などの燃焼によって発生します。気体の二酸化硫黄は、眼と気道と肺を激しく刺激し、神経毒的に体調を崩すこともあります。空が青くても、無色透明の二酸化硫黄の濃度が高い日があるので注意が必要です。目視では分かりませんから厄介です。

 管理人は、1月から二酸化硫黄の被害を体感しています。大気汚染物質である硫酸塩エアロゾルの濃度が高い時は、空が青くても、眼と気道に刺激を感じ、ひどい時は鼻水や咳が出ます。鼻血や結膜炎が出る人もいます。杉花粉の刺激は、もう少しやわらかい感じです。

 中国の大気汚染物質は、暖房のために石炭の燃焼が増える冬が最も酷くなります。中国に近い西日本への悪影響は明白です。

 

中国の大気汚染物質にはスモッグも

スモッグは、目視で確認できます。花粉症は、花粉と汚染粉塵が混合されることで劇症化します。花粉症で、本質的に問題が深刻なのは、花粉ではなく、スモッグです。

 

中国の大気汚染物質による症状

中国の大気汚染が酷いのは、中国で不純物が多い石炭を燃やした時に出る煙を浄化する装置の稼働率が低いことも原因の一つです。そのため、中国の大気汚染物質には毒性があります。

 中国の大気汚染物質には毒性があるので、さらされると、目の充血や、人によっては炎症熱が激しく出るため、細菌感染やウイルス感染でないのに、のどの腫れがあったり、黄色の鼻水が出たりします。そのため、細菌などの感染症と誤診されることもあります。この炎症の薬として抗生剤は不適切です。大気汚染物質という活性酸素で傷ついた体に、抗生剤という活性酸素を追加することになるからです。

 粘膜が傷つくことで、鼻をかむと微量の出血を確認したり、ちょっとしたことで鼻血が出ることも。

 アレルギー反応(潜在的なアレルギー反応も含む)が出たり、眼精疲労になることもあります。

 中国の大気汚染物質は肺から長期に渡って血液に少しづつ吸収されていきます。このことで、呼吸器官の繊維化を促進されるため、酸素摂取能力が低下し、炎症反応を起こしやすくなるため、咳喘息、疲労感、脳力低下、耳鳴り、ウイルスに対する免疫力低下、結石、腎炎、頭痛、筋肉の性能低下による関節痛、腱鞘炎足がつる、こむらがえり(腓腹筋痙攣)線維筋痛症アトピー性皮膚炎(特に顔面)の悪化などを引き起こします。

黄砂が衣服につかないようにするためには、洗濯物に対する注意が必要です。

晴れた日に、黄砂は飛びますから、洗濯物を干していると、衣服に黄砂がついてしまいます。洗濯物を外に干さず、洗濯物に花粉をつけない方法での部屋干しも1つの方法です。

環境省黄砂飛来情報を参考にしてください。

視界が悪くなることで、飛行機などの公共機関が遅れたりすることがありますので、約束のあるときには、早めに出かけましょう。車の運転にも視界が悪くなるので注意が必要です。愛車は、黄砂によって汚れてしまいます。

窓を開けると、黄砂は家に入ってきます。そこで、窓を開けずに掃除できるクリーナーやウェット式で掃除したほうがいいでしょう。

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この時期は、できれば、窓は開けたくないですね

できれば窓を開けずに掃除しましょう。

また排気の少ない、掃除機が発売されています。

このような掃除機の、フィルターで、黄砂を残らず掃除してくれます。

 

【熱中症対策】 (平成23年7月)

治療に関しては、冷水にぶち込むというテレビ番組があったのだが、米国家庭医学会雑誌には以下のように書かれている。

 

【熱疲労】

  • まず行うべきは冷所への移動

  • 熱卒中との区別を行う

  • 皮膚浸潤による蒸泄冷却

  • 電解質状態と核温度測定モニタリング

  • 脱水顕著な場合、低ナトリウム、意識状態、中枢神経系興奮を有している場合は必ず医療機関へ

  • ナトリウムを含むORSは軽度脱水にて有用

  • 生食によるナトリウム補充は徐々に行うべきで、血中ナトリウムを約2.5mEq/L/時間以上にならないように緩徐におこない、central pontine myelinolysisに注意。

  • 熱疲労の症状は2~3時間でしばしば自然回復する。回復遅れる場合はやはり医療機関へ搬送し、誤診無きようにすべき

 

【熱中症】

  • 高熱状態をまず適切に除去することが治療のcornerstone

  • 疑うべき場合は、冷所、陰のあるところへ、そして鑑別診断できる医療機関へ迅速に搬送すること

  • 迅速かつ有効なクーリングが重要であり、搬送中からクーリングを行うべきである。

    体外クーリング:evaporate method/immersionクーリング

    この「evaporative method」とは、15℃のミストを患者の皮膚にスプレーし、一方で体外へ45℃の暖かい空気をファンで当てる。冷却速度は1分当たり0.31℃とする

    「immersion クーリング」は氷浴、もしくはアイスパックを腋・股間、首、頭に当てて、クーリング・ブランケットを用いるものであるが、「evaporative method」に比べ効率が悪い。マッサージにより回復するが、皮膚温度が30℃を下回ると末梢血管収縮、震えが出現する。さらに氷浴は患者のアクセス困難となり、ダイビング反射などのリスクがある。しかし、皮膚露出困難などの文化がある場合は適切な場合がある。

    体内冷却は、胃、膀胱、肛門への冷水潅流は侵襲製が少ない。腹腔・胸腔潅流が極端な場合行われることがある。心肺バイパスも稀だが有効な方法。

  • 生化学などの採血を行い判断を行う。

  • 熱卒中の場合、薬物の効果は少ない。

    ベンゾジアゼピン系筋弛緩薬、chlorpromazineなどの向精神薬が震えや痙攣を抑えるために用いられることがあるが、臨床的なトライアルは行われ てない。dantroleneは核温度を下げるためには無効。解熱剤は理論的に有効かもしれないが、評価されていない。一度38℃まで核体温が下がった ら、クーリングを中止し、厳格なモニタリングを行う。

 

手足口病について(平成23年8月)

Q1 手足口病とはどのような病気ですか?

A1 手足口病は、口の中や、手足などに水疱性の発疹が出る、ウイルスの感染によって起こる感染症です。こどもを中心に、主に夏季に流行します。感染症発生動向調査によると、例年、報告数の90%前後を5歳以下の乳幼児が占めています。病気の原因となるウイルスは、主にコクサッキーウイルスA16、エンテロウイルス71(EV71)で、その他、コクサッキーウイルスA6、A9、A10などが原因になることもあります。


Q2 どのようにして感染するのですか?

A2 感染経路は、飛沫感染、接触感染、糞口感染(便の中に排泄されたウイルスが口に入って感染することです)が知られています。特に、この病気にかかりやすい年齢層の乳幼児が集団生活をしている保育施設や幼稚園などでは、こども達同士の生活距離が近く、濃厚な接触が生じやすい環境であることや、衛生観念がまだ発達していないことから、施設の中で手足口病の患者が発生した場合には、集団感染が起こりやすいです。また、乳幼児では原因となるウイルスに感染した経験のない者の割合が高いですから、感染したこどもの多くが発病します。


Q3 どのような症状が出ますか?

A3 感染してから3~5日後に、口の中、手のひら、足底や足背などに2~3mmの水疱性発疹が出ます。発熱は約3分の1にみられますが、あまり高くならないことがほとんどであり、高熱が続くことは通常はありません。ほとんどの発病者は、数日間のうちに治る病気です。しかし、まれですが、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、さまざまな症状が出ることがあります。(特にEV71に感染した場合には、他のエンテロウイルスによる手足口病と比べて、中枢神経系の合併症を引き起こす割合が高いことが明らかとなってきています。)また、手足口病の典型的な症状がみられずに重症になることもありますので、注意が必要です。
手足口病にかかったこどもの経過を注意深く観察し、合併症に注意をする必要があります。


<予防対策について>

Q4 感染しないようにするために、どのようなことに注意すればよいですか?

A4 手足口病には予防接種はなく、また手足口病の発病を予防できる薬もありません。治った後でも、比較的長い期間、便などからウイルスが排泄されることがあります。また、感染しても発病はせず、ウイルスを排泄している人もいると思われます。これらのことから、発病した人だけを長期間隔離しても有効な感染対策とはなりませんし、現実的でもありません。前述したように、衛生観念がまだ発達していない乳幼児の集団生活施設では、施設内での感染の広がりを防ぐことは難しいです。しかし、手足口病は、発病しても、軽い症状だけで治ってしまうことがほとんどであり、感染してはいけない特別な病気ではありません。これまでほとんどの人がこどもの間にかかって、免疫をつけてきた感染症であるということも知っておいていただきたいことです。

一般的な感染対策は、接触感染を予防するために手洗いをしっかりとすることと、排泄物を適切に処理することです。特に、保育施設などの乳幼児の集団生活では、感染を広げないために、職員とこども達が、しっかりと手洗いをすることが大切です。特におむつを交換する時には、排泄物を適切に処理し、しっかりと手洗いをしてください。

手洗いは流水と石けんで十分に行ってください。また、タオルの共用はしてはいけません。

手足口病は、治った後もしばらくは便の中にウイルスが排泄されますし、感染しても発病しないままウイルスを排泄している人もいると考えられることから、日頃からのしっかりとした手洗いが大切です。


<治療について>

Q5 治療方法はありますか?

A5 手足口病に特効薬はなく、特別な治療方法はありません。また、基本的には軽い症状の病気ですから、経過観察を含め、症状に応じた治療となります。しかし、まれに髄膜炎や脳炎など中枢神経系の合併症などが起こる場合がありますから、経過観察をしっかりと行い、高熱が出る、発熱が2日以上続く、嘔吐する、頭を痛がる、視線が合わない、呼びかけに答えない、呼吸が速くて息苦しそう、水分が取れずにおしっこがでない、ぐったりとしているなどの症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

 

【生活習慣病と認知症】 (平成23年9月)

高齢者の睡眠呼吸障害は軽度認知機能障害や認知症のリスクを高める

 高齢者の睡眠呼吸障害は認知機能障害のリスク増大と関係すると,米カリフォルニア大学サンフランシスコ校などのグループがJAMAの8月10日号に発表した。

 高齢者には睡眠呼吸障害がよく見られる。同グループは,骨粗鬆症性骨折に関する研究のサブスタディとして,2002年1月〜04年4月に睡眠ポリグラフ検査を行った認知症のない高齢女性298例(平均年齢82.3歳)を対象に,睡眠呼吸障害と認知機能障害との関係を検討した。

 睡眠呼吸障害は,睡眠中1時間当たりの無呼吸・低呼吸が15回以上と定義。年齢,人種,BMI,学歴,喫煙習慣,糖尿病,高血圧,薬剤使用(抗うつ薬,ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系抗不安薬),登録時の認知機能スコアを補正し,2006〜08年に回収したデータに基づいて軽度認知機能障害(MCI)と認知症を評価した。

 その結果,MCIまたは認知症の発症率は睡眠呼吸障害がなかった群の31.1%(60/193例)に対し,睡眠呼吸障害群は44.8%(47/105例)でオッズ比(OR)1.85と有意なリスク上昇が認められた。MCIと認知症のリスクは,睡眠中の低酸素症(1時間当たりの酸素飽和度低下15回以上,睡眠時間に占める無呼吸・低呼吸の割合7%超)と関係し,ORはそれぞれ1.71,2.04であった。

 一方,睡眠中の覚醒や合計睡眠時間には認知機能障害のリスクとの関係は見られなかった。

Yaffe K, et al. JAMA 2011; 306: 613-619.

 

【胆石症】平成23年10月分

胆石は、胆汁中のコレステロールなどの成分が結晶化し、これを核として大きく成長していき、結石ができます。
コレステロール結石は、動物性脂肪やコレステロールの多い食事をしていることが原因で、胆汁中のコレステロールが一定量を越えると余分なコレステロールが結晶化します。
ビリルビン結石は、大腸菌の細菌感染が原因として関係しています。胆汁の流れが悪くなったことによって細菌感染が起こり、ビリルビンとカルシウムが結合して結石が形成されます。


症状

主な症状は、以下の通りである。

  • 右上腹部痛
    主にみぞおちの痛みや右脇腹の痛み、そのほかに背中の痛みや張り、腰痛、肩凝り等が生じることもある。また、痛みの部位から、狭心症の痛みや、胃潰瘍の痛みと鑑別を必要とする。非常に強い痛みを伴うことが多い。

  • 悪心・嘔吐
    吐気嘔吐を伴うことが多い。

  • 発熱
    胆嚢や胆管が炎症を起こすと、発熱を生じる。

所見

  • 右上腹部圧痛・叩打痛
    多くの場合に認められる。

  • 黄疸
    胆管で肝臓から流れ込む胆汁が胆石によって、黄疸症状を引き起こすことがある。黄疸症状は胆管結石に多く、黄疸によって尿の色が濃くなることもある。

  • 手術治療
    胆嚢摘出術は胆石症の原因である胆嚢を摘出する手術で、最も根治的な胆石症の治療法である。近年では腹腔鏡下で行う手術が多くなってきている。

    胆嚢の機能は胆汁を一時的に蓄えるだけで、術後も胆汁は肝臓で作られ消化機能に影響がないため、手術により胆嚢を失っても日常生活に支障はないが、油脂を採り過ぎると下痢をしやすい体質になる可能性がある。

超音波破砕治療

体外衝撃波胆石破砕術(Extracorporeal shock wave lithotripsy|ESWL)と呼ばれ、体外から高周波衝撃波を当てることにより、胆石を砕く治療法。

侵襲が少なく患者への負担が軽い治療ではあるが、適応が「純コレステロール胆嚢結石」のみであり、日本人の多くのコレステロール胆石が石灰化混合胆石で他の胆石に対しては治療適応が無く、また胆石を除去するのではなく粉砕し自然排石を期待する治療で再発が多い。そのため、行う施設が少ない。また、胆嚢炎を生じた場合、胆嚢が肥大化し胆嚢壁が薄くなり、衝撃波を当てると胆嚢壁が破れる危険性があるため、この治療法を施すことはできない。(ウィキペディアより引用)

 

【人はなぜ疲れるのか】 (平成23年11月版)

小学生を対象に「困っていることは?」というアンケート調査をしたところ、「近頃、疲れる」との回答一番多かったという。慢性的な疲れは老若男女を問わず現代社会の自覚症状の一つになっている。

しかしそのかわりに、研究は進んでいない。そのため疲労感を訴えて医療機関にいっても、適当な検査がなく、病名もつけてもらえないことも多い。

なぜ、わけもなく疲労を感じるのだろうか。 激しい運動をすると、筋肉内に乳酸という物質がたまる。これが疲労を感じさせるひとつの原因であるが、別の説も上がってきているので、その研究結果がまたれるところである。ただ、疲れるといっても、病気の結果として出てくる疲れは要注意である。中年期で多いのはうつ病である。女性では甲状腺ホルモンの分泌低下する病気もある。

検査データに異常がなく、「6ヶ月以上続く、強い疲労感」「微熱」 「頭痛」などの症状があると慢性疲労性症候群という診断名がある。なんらかの原因で免疫力が低下し、軽微な慢性的炎症が続く状態である。

しかし、大部分の疲労は、時に重大な病気がないか鑑別診断をしていかなければならないが、睡眠不足、栄養のバランス、ストレスの蓄積が主体である。

自己診断すると、隠れた病気が潜んでいることがあるので、なかなか改善しない疲労感があるときはぜひ、病的疲労なのか、医療機関に相談してください。

 

【胆石症 】 (平成23年12月分、今年2回目、患者が多い)

Q1:胆石症はどのような病気ですか?

A1:肝臓の下にある胆汁をためる袋(胆のう)の中に、結石ができる病気です。胆のう内に胆汁が濃縮した胆汁成分が変化して、コレステロール石(胆石全体の60~70%)、カルシウム石、ビリルビン石などができます。これを胆石症と呼びます。


Q2:胆石症はどのような特徴を持っていますか?

A2:胆道が結石によって閉塞し、胆汁が十二指腸へ排出されなければ黄疸がおこります。放置しておくと、胆のう炎をおこしたり、胆のう癌が発生し易くなります。


Q3:胆石症の症状にはどのようなものがありますか?

A3:無症状のことも多いです。胆道や総胆管に結石が詰まると、激痛を訴えます。胆道に胆石が詰まって、胆汁の流れを閉塞させると、胆汁が十二指腸に流れ出なくなり黄疸がおこります。


Q4:胆石症の診断はどのようにしますか?

A4:レントゲン検査、超音波検査などの画像診断が決め手になります。胆石が総胆管に詰まると黄疸にが出現し、生化学検査などでビリルビンやALP値の上昇がみられます。


Q5:胆石症の治療法はどうなっていますか?

A5:無症状の胆石の場合は経時的に患者さんの経過を観察し、急いで治療する必要はありません。胆石を溶かす飲み薬もあります。痛みや炎症症状が強い場合は手術により胆石の入っている胆のうを摘出する手術が必要になります。手術の方法としては、お腹を大きく切開する「開腹胆のう摘除術」と内視鏡を用いておなかに4つの小さな穴をあけ、胆のうをとりだす「腹腔鏡下胆のう滴出術」があります。最近では後者が普及しております。病院によっては、「腹腔鏡下胆のう滴出術」を用い日帰り手術を行っているところもあります。

 

【進化するインフルエンザウイルス】(平成24年1月分)

 外来の異物で最大の脅威はウイルスである。特にインフルエンザウイルスは、身近にいることと、毒性や感染力が強いため、脅威なのです。

ウイルスが体内に入ると、2日ほどで突然の発熱が起こる。38~42℃台の高熱になることが多く、震え、関節の痛み、倦怠感などを伴い、重症感が強い。回復にも1週間以上かかることもあります。

 人の細胞表面にはN -アセチルノイラミン酸という物質が有り、ウイルスはこれにつかまりながら、細胞内に潜り込みます。細胞内で無数に分裂したウイルスは、再び飛び出していくが、自分自身もこの物質に身につけてしまうため、そのままでは出て行くことはできない。このため、ウイルスは、進化の過程でこの物質を切断する酵素を作る能力を身につけたのである。インフルエンザでの特効薬として有名になったタミフルには、ウイルスが産生するこの酵素をブロックする作用がある。従って、ウイルス感染があった後、細胞内から飛び出す前(48時間以内)ニ服用すれば、症状が軽くすむことになる。

その後、タミフルを過剰に宣伝したりして、乱用が加速した。その結果、ウイルスがタミフルに対する耐性を身につけ、タミフル耐性の強毒なインフルエンザウイルスが出現したのである。

 

「過活動性膀胱」 (平成24年2月分)

Q1:過活動膀胱はどのような特徴をもっていますか?

A1:2002年パリで開催された国際尿禁制学会(ICS)で認められた新しい疾患名です。日本排尿機能学会によると、日本に過活動膀胱の潜在患者が830万人いると推定されています。40歳以上の12%、8人に1人という高率で発生し、年齢とともに有病率は高くなっております。


Q2:過活動膀胱の症状はどのようなものですか?

A2:普通、健康な人は400~500mlの尿をためることができますが、過活動膀胱では、100ml前後の尿がたまると膀胱が収縮し尿意をもよおしがまんできなくなります。過活動膀胱は、膀胱が尿でいっぱいになる前に、膀胱が自分の意思に反して、勝手に収縮し尿失禁(尿をもらしてしまうこと)をおこすと考えられています。過活動膀胱の症状は尿意切迫感(突然の尿意を感じ、がまんできなくなる)、頻尿、切迫性尿失禁です。


Q3:過活動膀胱の治療法はどうなっていますか?

A3:膀胱の収縮を阻止し、神経に働く、抗コリン剤(ポラキス、BUP-4)または排尿筋を弛緩させるカルシウム拮抗剤(アダラート、ヘルベッサー、ペルジピン)を用います。抗コリン薬を1~2ヵ月内服すると80%の患者で改善されます。


Q4:過活動膀胱の予防法はどのように行いますか?

A4:抗コリン薬を投与するが、不整脈のある人や、緑内障、前立腺肥大症の人には禁忌である。そのため行動療法(生活指導、膀胱訓練、骨盤底筋体操)、排泄介助などがある。
カフェイン、アルコール、過剰な水分摂取に注意が必要である。

 

【流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)】

◎流行性耳下腺炎 (ムンプス)

※耳下腺の腫脹:コクサッキー・パラインフルエンザ・化膿性耳下腺炎・唾液腺結石等
 ◇再感染率:約5%、軽症に経過、合併症・両側腫脹等少ない。
 ◇ワクチン有効率:90% 前後だろう。
  ムンプスの既往のある成人にムンプスワクチンを接種しても、局所の発
  赤を起こすことはあるが特に問題ない。追加免疫効果が得られる。

※症状と合併症 (頻度%)
 耳下腺炎 (100.0)、発熱 (81.1)、全身倦怠 (67.I)、嚥下困難 (66.2)、食思不振 (63.5)、
 頭痛 (61.8)、耳痛 (44.6)、咽頭痛 (41.1)、すっぱい食物摂取での痛み (33.3)、易刺激性 (31.9)、
 悪心 (22.7)、嘔吐 (8.0)、腹痛 (22.3)、下痢 (6.7)、全身の痛み (17.1)、関節痛 (16.2)
 睾丸炎・12歳以上の男児 (9.1)
 乳腺炎・12歳以上の女児 (7.7)
 卵巣炎・12歳以上の女児 (3.8)
 膵臓炎 (2.7)。

※睾丸炎は耳下腺腫脹が治まった頃に来る様ですがなぜか?

※睾丸炎時の治療法は?、ステロイドを使ってもいいのか?
 通常、感染後ウイルスは気道粘膜で増殖し、その後ウイルス血症を起こし
 全身に散布されると、教科書には書かれている。それで、唾液腺腫脹と他の合併症との時間的な関係はいろいろ。
 記載のあるのは、髄膜炎との関係です。二つの報告がある。
 唾液腺腫大前 19%、同時 23%、腫脹後 1 ~ 4日 41%、7日以降 4.9%。
 唾液腺腫大前 7.7%、同時 6.5%、最多は腫脹後 3 ~ 5日 59.8%。

 Nelson (小児科の教科書) には、
 Orchitis should be treated with local support and bed rest.と書かれている。

※ウイルス学的・血清学的診断方法
 髄液中などのムンプスウイルス RNA を RT-PCR 法で検出できる。
 普通のウイルス分離 (唾液、尿、髄液)。
 酵素抗体法のムンプス IgM[EIA] は急性期にやることもある。
 ムンプス IgG[EIA]、HI をペア血清でやったりする。

※顎下腺腫脹と顎下リンパ節の腫脹を理学的に区別するいい方法わりあい、分かりにくい。
 耳下腺は耳介の延長線上で、前後および後方に 2等分されます。この 2等分は腫脹しても変わらないといわれている (リンパなら(後方に)偏る) 。
 さらに、両側性にくれば、リンパよりも耳下腺らしいということ。
 耳下腺の開孔部 (Stensen) の発赤、腫脹がどうか (膿が出れば化膿性)。
 酸っぱい物で疼痛が増強すれば、唾液腺がやられてる。

※ムンプス難聴診断基準
 1. 確実例
  (1). 耳下腺・顎下腺腫脹など臨床的に明らかなムンプス症例で、腫脹出現 4日前より
     出現後 18日以内に発症した急性高度難聴の症例 (この場合、必ずしも血清学的検査は必要ではない)
  (2). 臨床的にはムンプスが明らかでない症例で、急性高度難聴発症直後から 2 ~ 3週間後にかけて血清ムンプス抗体価が有意の上昇を示した症例
  注1:(1) においては、はじめの腫脹側からの日をいう
  注2:(2) において有意とは、同時に、同一キットを用いて測定して
     4 倍以上になったものをいう
  注3:難聴の程度は必ずしも高度でない症例もある

 2. 準確実例
   急性高度難聴発症後 3か月以内にムンプス IgM 抗体が検出された症例

 3. 参考例
   臨床的にムンプスによる難聴と考えられた症例
   注1:家族・友人にムンプス罹患があった症例など
   注2:確実例 (1) における日数と差のあった症例

※ムンプス難聴は、流行性耳下腺炎の合併症のひとつで、一側性のものが多いそうです。症状は難聴ですが、電話が聞こえない、ささやき遊びのときに見つかったなど。耳鳴、めまいも関連の症状のようです。髄膜炎がおこってからというわけではなく、必ずしも関係はない。
 発症時期は「確実例」にあるように、「腫脹出現 4日前より出現後 18日
 以内に発症」と。「参考例」の注2:は、難聴の発症時期なのか、発見時期なのか。
 つまり、乳幼児などで、見落としの可能性がある。

 

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