高橋内科クリニックのロゴ画像

内科 消化器科(胃腸科)

お問い合わせ

call0494-27-0155

call

tel

埼玉県秩父市中村町3-3-36 秩父駅より徒歩15分、西武秩父駅より徒歩15分

地図はこちら

play_arrow

休診日:日曜・祝日 木・土曜日は午後休診

診療時間

play_arrow

埼玉県秩父市中村町3-3-36 秩父駅より徒歩15分、西武秩父駅より徒歩15分

休診日:日曜・祝日 木・土曜日は午後休診

  • ホーム

  • 【ノロウイルス】 (平成22年12月)

【ノロウイルス】 (平成22年12月)

ノロウイルスはヒトに経口感染して、十二指腸から小腸上部で増殖し伝染性の消化器感染症(感染性胃腸炎)を起こす。毒素は分泌せずに十二指腸付近の小腸上皮細胞を脱落させ[2]特有の症状を発生させる。死に至る重篤な例はまれであるが、稀に十二指腸潰瘍を併発することもある。特異的な治療法は確立されていない。感染から発病までの潜伏期間は数時間~数日(平均1~2日)で、症状が収まった後も便からのウイルスの排出は1週間程度続く。

2007年5月に報告された厚生労働省食中毒統計による2006年の食中毒報告患者数は、71%がノロウイルス感染症である[3]。ヒトへの感染に於いては血液型で感染率に差があり、血液型抗原であるH(O),A,Leb型抗原に吸着されやすい事から、O型は罹患しやすくB型は罹患しにくいことが報告されている[3]が、ウイルス株による差異もある。ヒト以外では発症しないとされ、発症機序を含め十分に解明されていない。

 

症状

主な症状は、嘔吐・下痢・発熱で、「お腹の風邪」と呼ばれていたことがある。

症状の始まりは突発的に起こることが多く、夜に床につくと突然腹の底からこみ上げてくるような感触と吐き気を催し、我慢出来ずに吐いてしまうことが多い。それも一度で終わらず何度も激しい吐き気が起こり、吐くためにトイレのそばを離れられないほどである。無理に横になろうとしても気持ち悪くて横になれず、吐き気が治まった後は急激且つ激しい悪寒が続き、さらに38℃程度の発熱を伴うこともある。これらの症状は通常、1、2日で治癒し、後遺症が残ることもない。ただし、免疫力の低下した老人や乳幼児では長引くことがあり、死亡した例(吐いたものを喉に詰まらせることによる窒息、誤嚥性肺炎による死亡転帰)も報告されている。

また感染しても発症しないまま終わる場合(不顕性感染)や風邪と同様の症状が現れるのみの場合もある。よく「嘔吐、下痢、腹痛を伴う風邪」という表現があるが、それはノロウイルスなどによる感染症である可能性も低くなく(エンテロウイルス等の他の原因もある)、単なる風邪ではない場合がある。ただし、これらの人でもウイルスによる感染は成立しており、糞便中にはウイルス粒子が排出されている。

 

感染経路

ノロウイルスによる感染症は経口感染が原因で、その感染経路から以下に大別できる。

  1. 飲食物からの感染(感染型食中毒)
    a. 食中毒:ウイルスを蓄積した食材およびウイルスで汚染された食品を喫食して感染。
    b. 水系感染:水道水、井戸水などがウイルスで汚染され、その水を飲み感染。

  2. ヒトからヒト
    c. 感染者の糞便や嘔吐物から手指を介して感染。
    d. 感染者の糞便や嘔吐物に排出されたウイルスが付着し、飛散した飛沫から感染。(飛沫感染或いは塵埃感染とも呼ばれる)
    e. 感染者が十分に手を洗わず調理した食品を食べ感染。

販売あるいは調理提供する食品そのものの衛生管理の(食品衛生学的な)立場からは『飲食物からの感染』のケースが、院内感染などの感染管理の立場からは『ヒトからヒト』のケースが特に問題とされるが、症状や経過には感染経路による違いはない。国立感染症研究所の病原微生物検査情報(2006/2007年の統計)の集団感染事例の集計によると、原因食品が明確ではないケースが約6割を占めており、汚染食品の摂食よりはるかに多い原因となっている。

 

感染予防

上述した感染経路を考慮すると、特に飲食物を扱う人が十分に注意を払うことによって効果的な感染予防につながる。

特に調理者が十分に手洗いすること、そして調理器具を衛生的に保つことが重要である。ノロウイルスはエンベロープを持たないウイルスであるため、逆性石けん(塩化ベンザルコニウム)、消毒用エタノールには抵抗性が強いが、手洗いによって物理的に洗い流すことが感染予防につながる。

また、ノロウイルスは60℃30分の加熱では感染性は失われず、85℃以上1分間以上の加熱によって感染性を失うため、特にカキなどの食品は中心部まで充分加熱することが食中毒予防に重要である。生のカキを扱った包丁やまな板、食器などを、そのまま生野菜など生食するものに用いないよう、調理器具をよく洗浄・塩素系漂白剤による消毒をすることも大事である。

洗浄と消毒の順番については第1に洗浄(と充分なすすぎ)、第2に消毒である。この順番を逆にすると効果が弱くなってしまう。

塩素系漂白剤については、至適濃度に関するデータは無い。「濃い原液を使えばより効果があるだろう」という考えもあるし反対意見もある。原液の濃度にもよるが、濃度の高い液はアルカリ性であるため、アルカリに強い菌種では消毒力は薄めたものよりもかなり低くなってしまうケースもある。しかし、ノロウイルスについては細胞内培養法が確立していないため最も不活化されるpHに関するエビデンスがなく、この結果、消毒薬の至適濃度に関するエビデンスもない。現状では説明書通りの使用がよいと考えられる。


生食用カキの食品衛生法の規格基準においてノロウイルスに関する基準は設定されていないので、「生食用」と表示された場合でも「ノロウイルスがいない」という保証があるわけではない。消費期限内であるか否かにかかわらず感染源となる場合もありうる。ただし、自主的に検査を行っている水産加工業者などもかなり増え、カキの生食が一律に危険というわけではない。過剰な反応に対しては風評被害という指摘もされている[6]。もちろん、検査義務が法制化されているわけでも全ての業者が自主検査を行っているわけでもない。そして、自主検査におけるサンプリングの妥当性および出荷見合わせの有効性は確認されていない。よって、一律に安全なわけでもない。厚生労働省や保健所もカキの生食用販売を積極的には禁じていないがカキ等の二枚貝については充分加熱した後に食べるよう呼びかけている。

乾燥した糞便や嘔吐物から飛散したウイルスを吸い込んだり、または接触することにより感染するため、感染者の糞便や嘔吐物を処理する場合は、手袋・マスクを使用し直接手で触れないよう注意し、作業後は手をよく洗うよう心掛ける。汚染物は飛散せぬよう袋に密閉し処分する。汚染された場所を消毒する際、前出のようにノロウイルスは逆性石けんや消毒用エタノールに対する抵抗力が強いため、これらによる消毒はほとんど効果がない。現在細胞をもちいても培養方法が存在しないため消毒つまりウイルス不活化に対する確証は得られていないが、次亜塩素酸ナトリウムに対する抵抗力は比較的弱いのではないかと想像されている。感染者のいる場合、トイレ・ドアノブ・蛇口・手すりなどは汚染しやすい箇所であるため、汚れを落とした後に消毒する。ノロウイルスは症状が消失した後も3〜7日(場合によっては2週間以上)はウイルスが排出されることに留意しなくてはならない。消毒対象が布などの耐熱性のあるものの場合、スチームアイロンの活用も有効である。

なお、2010年現在ノロウイルスに対する有効なワクチンは開発されていない。また、このウイルスに対する免疫は感染者でも1-2年で失われるといわれている。原因は免疫抗体価低下説やウイルスが変化するため抗原性が変化するなどの説があるが、まだ確証は得られていない。このためワクチンの開発には困難が予想される。

 

嘔吐・下痢の対処法

感染性胃腸炎がおさまりません。冬は最近は、毎年、胃腸炎が増えるようになってきました。インフルエンザと同じように、ウイルスによるもの、細菌によるものなど原因は多彩ですが、治療、対処法を簡単に述べます。

ウイルス性および細菌性胃腸炎の治療

  1. 基本的治療・・・ORS(oral rehydration solution)などによる経口補液、または、経静脈輸液による水分補充と電解質の補正

  2. さらにBRAT(Banana, Rice, Apple, Toast) を中心とした食事療法、乳酸菌製剤などの投与でほとんどが1週間以内に軽快する。

  3. 細菌性下痢症。特に腸管出血性大腸炎によるものを否定できない場合(夏季に周囲で発症いるなど)は、FOM、カナマイシンを投与せざるを得ない。その場合には抗生剤に耐性の整腸剤を併用する。

  4. 経口補液は吐き気、嘔吐がなければ、時間と場所を問わず、家庭においても行える、もっとも確実、簡便な水分、電解質の補充法である。経口補液製剤としてはソリタT2 号顆粒とソリタT3号顆粒がある。軽症例ではT3号補液製剤でかまわない。
    市販のスポーツドリンクは電解質濃度が低く、逆に糖質の含有量が多すぎるので治療には使用できない。