・インフルエンザは、口や鼻から侵入したインフルエンザウイルスが気道や肺で感染・増殖することで発症する疾患です。
・インフルエンザウイルスに感染してから約1~3日の潜伏期間後にインフルエンザを発症します。続く約1~3日の症状期では、突然の38℃以上の高熱や関節痛、筋肉痛、頭痛などの全身症状が顕著に現れます。やや遅れて、咳や喉の痛み、鼻水などの呼吸器症状が現れ、腰痛や悪心などの消化器症状を訴えることもありますが、通常10日前後で寛解・治癒します。
日本におけるインフルエンザの発症者数は、その年の流行レベルによって毎年変動しますが、例年、およそ1000万人前後と言われています。
かぜは1年を通してみられるのに対し、インフルエンザは季節性を示します。かぜは発症後の経過が緩やかで、発熱も軽度であり、くしゃみや喉の痛み、鼻水・鼻づまりなどの症状が中心です。
インフルエンザは高熱を伴って急激に発症し、悪寒や全身倦怠感、関節痛、筋肉痛、頭痛などの全身症状が強く現れます。かぜに比べ、「高熱」と「全身症状」が特徴です。インフルエンザでは肺炎や脳炎(インフルエンザ脳症)などの重篤な合併症を引き起こすことがありますが、かぜではこのようなことはまれです。
インフルエンザ臨床症状
●潜伏期:1~3日。
●悪寒、発熱(発症後急速に上昇、38~39℃以上になる)、頭痛、筋肉痛、関節痛、全身倦怠、脱力感などの全身症状。
●ついで鼻汁、咽頭痛、咳などの上気道炎症状。
●経過中に腹痛、嘔吐・下痢などの消化器症状。
●身体所見:有熱時の顔面紅潮、球結膜充血、鼻粘膜の発赤・腫脹、粘膜の分泌亢進、咽頭粘膜の発赤・腫脹等。
インフルエンザウイルス感染患者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるウイルスを吸い込む「飛沫(ひまつ)感染」が主です。
インフルエンザウイルスは、呼吸とともに鼻腔や咽頭から体内に入り込み、気道粘膜に吸着して細胞内に侵入し、上気道から下気道、肺で急激に増殖していきます。
季節性インフルエンザの半数以上を0~9歳の小児が占めています。これに対し、季節性インフルエンザによる“死亡”は、大部分が65歳以上の高齢者です。
インフルエンザの診断は、「問診」でインフルエンザの症状を確認するとともに、インフルエンザウイルスの有無や型を調べる「検査」によって、かぜ(普通感冒)などの疾患との鑑別診断を行います。
インフルエンザ迅速診断キットを用いた場合は10~20分間という短時間で簡単に診断ができます。
感染後早期から、抗インフルエンザウイルス薬の投与を開始することが非常に重要です。症状を緩和する「対症療法」として解熱鎮痛薬の投与や、黄色痰など細菌の二次感染が疑われる場合に抗菌薬などの投与があります。
・安静や水分補給といった「一般療法(生活療法)」もとても大切です。安静にして睡眠を十分にとること、そして、高熱で脱水が起こりやすいので、水分をしっかり補給することが大切です。
・かかる前に、予防接種によりインフルエンザ感染を予防しましょう。
インフルエンザワクチンについて
・インフルエンザワクチンの有効率は、65歳未満の健常者での発症阻止効果が70~90%、ワクチン接種によって発病するリスクを1/3~1/10まで低くすることができます。
・65歳以上の一般高齢者の方についても、肺炎・インフルエンザによる入院のリスクを30~70%低下させ、リスクの高いと考えられる老人施設入所者でも死亡リスクを20%まで減少させます。
インフルエンザ予防接種の基本的な考え方
>目的
高齢者や呼吸器系・循環器系慢性疾患患者など
ハイリスク者における重篤な合併症や死亡を予防する。
>背景
インフルエンザウイルスの感染力は極めて強いので、
予防接種により流行を制御(control)したり、
インフルエンザという疾患を排除(elimination)
することは困難である。
※小中高生や大学生がインフルエンザを発症した場合、学校の出席停止期間について
発症後5日間を経過し、かつ解熱後2日間(幼稚園児は発症後5日間を経過し、かつ解熱後3日間)となっております。
出席証明書が必要となることがありますので、その時は受診をお願いします。
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