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関節リウマチ

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いのうえ内科・リウマチ科
井上晴子

関節リウマチとは

関節リウマチとは、全身の様々な関節に痛みや腫れを生じ、次第に関節が破壊され、歩行、家事をはじめとする生活に支障を来たす病気です。腰痛や筋肉痛を生じることはまず無いと思ってください。
昔は30~50歳代の女性の病気と思われており、実際にその年代の女性の患者さんが多いのですが、高校生や男性、高齢者の初発の発症も増えています。
原因は完全に明らかにはなっていませんが、遺伝との因果関係を唱えた論文が存在し、多くの医師から支持されております。他に口腔内感染症、ウイルス感染、喫煙などさまざまな説があり、有名な論文も存在します。遺伝については、遺伝子を持っているから必ず発症する訳ではなく、生活因子が絡み発症すると考えられます。

関節リウマチの代表的な症状

関節の腫れ、痛み
  リウマチで障害される関節には頸椎、胸椎、腰椎はまず含まれません。腰や背骨が痛い方は整形外科を受診して下さい。
朝の(関節の)こわばり
  こわばりとは、関節の動かしづらさを指す言葉です。
個人差がありますが、起床後1時間から半日継続することが多いと言われています。
全身倦怠感、発熱
  重症になるほど出現します。発熱といっても38度までのようです。

関節リウマチの診断について

診察
  医師が、全身の疼痛関節、腫脹関節を丁寧に診察し所見をとります。
採血
  炎症反応の高さ、抗体(抗CCP抗体、RF因子)
レントゲン
問診(家族から聴取した情報も含む)
関節エコー
関節MRI
血液から抗体が出ただけで関節リウマチとは診断しません。
抗体が陰性でも関節リウマチと診断される患者さんは沢山います。

関節リウマチの治療方法

内服の抗リウマチ薬
  リウマトレックス、アザルフィジン、リマチル、アラバ、シオゾール
ケアラム(コルベットと同薬)は、治療薬として効果が高いと報告されています。
海外では抗マラリア薬や、日本では抗生物質であるミノマイシンを投薬することもあります。
免疫抑制剤であり、タクロリムスやネオーラル、ブレディニンを投薬することもあります。
ステロイド、非ステロイド性消炎鎮痛剤はあくまで痛み止めであり、疾患活動性を低下させる作用はありません。
注射の抗リウマチ薬
  高額ですが、個性的で有効性の高い製剤が揃っています。
販売は2003年以降ですので、後発品が販売されている製剤が出現しました。今後は後発品が増えると思われます。
レミケード(点滴)
エンブレル、ヒュミラ、シムジア、シンポニー、ケブザラ(皮下注射)
アクテムラ、オレンシア(点滴、皮下注射)
分子製剤である抗リウマチ薬
  一般的に、JAK阻害薬と言われる、注射製剤より更に高額の製剤です。さまざまなサイトカインに働きかけ炎症を抑えます。
2019年に3剤目が新発売されます。まだ全国的に使用症例が少なく、副作用、使用方法など不明な点が多いのですが、関節リウマチ治療の将来を担う製剤と言われています。

関節リウマチは治りますか?

静岡県東部地域という、伊豆半島を控えた非常に温暖な地域にお住まいの患者さん達だからこそ多い質問だと思います。
関節リウマチの疾患活動性は人それぞれです。
治療を中断すると70%の患者さんが数か月後、もしくは数年後に病気を発症させ、そのうち更に70%の患者さんがそれまで内服していた治療薬より多くの薬を使用しないと低疾患活動性に持っていくことが出来ないという有名な論文が存在します。
高額な注射製剤や、分子製剤を早期に併用すると確かに疾患活動性は早期に落ち着きます。中にはそれらの投薬を中止できる患者さんも少なからず存在しますが、内服薬による治療を継続するので、治るわけでは有りません。

余談ですが、大切な話

ステロイド製剤(プレドニゾロン、リンデロン、メドロールなど。注射、内服両方あり)は初発で重症の患者さん、疾患活動性の高い高齢者の患者さんの治療導入では活躍する製剤だと思います。
  しかし、糖尿病、高血圧症、脂質異常症の原因にもなり、長期使用により感染症、骨粗鬆症、骨壊死、圧迫骨折の原因になることもあります。
  悪性関節リウマチ(皮膚潰瘍、血管炎や胸膜炎などを合併している症例)ではないのに、高容量(プレドニン換算で10mg以上)内服や関節注射、静脈注射を漫然と投薬するのは危険だと思われます。
都会には注射製剤の抗リウマチ薬であるエンブレルをステロイド同様痛み止め感覚で投薬する医師が確かに存在します。気を付けて下さい。
あまり関節痛が無いのに、「関節リウマチは早期発見、早期治療することで完治する疾患です」と説得し、高額な投薬をしたがる医師や、高額な分子製剤の新薬が今後も販売されますが、新薬が出るたびに製剤を切り替えたがる医師にも気を付けて下さい。

 

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