16.ピロリ菌と除菌 |
17.高尿酸血症 |
18.慢性の咳の原因 |
19.熱中症 |
20.タンパク尿 |
21.家庭で血圧を測りましょう |
22.増え続ける炎症性腸疾患 |
23.更年期障害 |
☆☆この健康アドバイスは日本医師会の見解に準じております。
ピロリ菌とは | ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は胃の中に住んで胃炎を起こす細菌です。胃酸は強い酸性のために通常の細菌は死んでしまいますが、ピロリ菌は特殊な酵素によってアンモニアを出して胃酸から身を守っています。 ピロリ菌に感染すると、ほぼ一生感染が続きますが、大人になってからは感染しにくいとされています。日本では60歳以上の年代で8割以上の方が感染していますが、昔の衛生状態が関係していると考えられています。 |
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ピロリ菌除去の対象は | そこでピロリ菌の除去が注目されました。現在、ピロリ菌除去が保険で認められているのは、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病のほか、早期胃がんの内視鏡切除術を受けた人に対してですが、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の治療として、以前から行われています。 ピロリ菌を除去すると胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発率が低くなる、胃がんの発生が少なくなることなどが知られています。 |
ピロリ菌除菌は8割が成功 | ピロリ菌がいるかどうかの検査には、内視鏡を使う方法と使わない方法があります。 除菌は基本的には薬を指示通りに1週間飲めばよく、痛みもなく、入院も必要ありません。その後除菌できたかを確認しますが、除菌の成功率は、約8割です。一度失敗しても、別の薬で除菌をやり直すことができます。 副作用としては下痢、軟便などがあります。胃酸分泌が活発になるため1割ぐらいで逆流性食道炎が起こりますが、それほど心配することはありません。 ピロリ菌を検査し除菌すべきかは症状にもよりますので、まずかかりつけの医師に相談してください。 |
ピロリ菌がいるかどうかの検査法(除菌の成功を確認する時にも用いられる) | 内視鏡を使って調べる方法 ・(胃の組織の一部を取る) 培養法 ピロリ菌が生えてくるか調べる ・迅速ウレアーゼ法 ピロリ菌のもつ酵素を調べる ・鏡検法 顕微鏡でピロリ菌がいるか調べる 内視鏡を使わずに調べる方法 ・尿素呼気試験 吐く息を取って調べる ・抗体法 血液や尿を調べる ・便中抗原法 便を調べる |
高尿酸血症って何? | 「尿酸」とは体内の細胞の老廃物です。通常は尿と一緒に排出され、血液の中の尿酸の濃度、いわゆる「尿酸値」の基準は4.0~7.0mg/dlくらいが正常範囲とされています。 しかし、なんらかの異常で尿酸がスムースに体外に排出されなかったり、生産されすぎたり、あるいは両方の原因で尿酸値が7.0mg/dlを超えてしまうと「高尿酸血症」と診断されます。 |
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痛風だけではありません | 最近、高尿酸血症の患者が増え、特に若い人の発症が増えてきました。血中の尿酸値が高いままの状態が続くと、痛風を代表とするさまざまな合併症が出現することが知られています。 それだけでなく、心筋梗塞や虚血性心疾患の危険性が高まることもわかってきました。 |
放置しないように | 高尿酸血症は、食生活を改善し、適度な運動を心がけ、必要であれば薬物療法で尿酸値をコントロールしていく必要があります。 尿酸値が高すぎる状態が続くと、ある日突然痛みや腫れなどの発作が起こります。これが痛風発作です。発作は数日で治まり次の発作まではまったく無症状なので、つい放置しがちになります。 健康診断などで尿酸値が高いといわれたら、放っておかずに、まずはかかりつけの医師に相談しましょう。 |
この咳いつまで続くの? | 長引く咳を訴える患者さんが増えています。咳によって体力を消耗したり、生活に支障をきたすこともある為、原因をはっきりさせ、治療を受ける必要があります。目安として、3週間以内は”急性の咳”、2ヶ月以上続く場合は”慢性の咳”として区別しています。 3週間以内なら“急性”の多くは風邪や急性の気管支炎による咳、あるいはこれらが治った後の咳だけが残る症状です。風邪の後に咳が1~2週間続いたら、胸部のレントゲン撮影を受けましょう。レントゲンで異常がなく、咳以外に症状がなく、少しずつでも自然によくなっていくなら、そのまま様子をみてよいでしょう。他に原因がなければ、最終的に止まります。 |
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咳止めが効かない | 一方、1ヶ月をすぎてもよくなる気配がなく、横ばいかむしろひどくなるようなら、他の原因が考えられます。“慢性”のもっとも多い原因は、症状が咳のみの「咳喘息」です。また、黄色い痰が出たり、胃酸が食道に逆流することによる胸焼けや胃のもたれなどの症状がある場合も、いわゆる「咳止め」では効かないことが多いので、早めにかかりつけの医師に相談しましょう。 タバコによる慢性の気管支炎ではまず禁煙が先決です。血のにじんだ痰が出たり体重が減るようなら肺がんなどの疑いもあるので、早めに痰の検査などを受けましょう。 |
熱中症とは (いつでも、どこでも、誰でも、かかる可能性があります) |
熱中症は、暑いところにいて、汗により体の中の水分や塩分が減ってしまったり、体温があがりすぎてしまうことで起こります。健康な人でも部屋や車の中にいても、夜でも、湿度が高いだけでも、かかる可能性のある病気です。 始めはめまいや立ちくらみがして、しだいに頭痛や吐き気と症状が進み、ひどくなると意識が朦朧とし、命にもかかわるこわい病気です。 |
特に、子供や中高年は注意 | 体の中で水分をたくさん蓄えておくことが出来る筋肉の量が少なく、体温を調節する力もまだ発達していない子供や、筋肉が衰え、のどの渇きに対する感覚もにぶくなる中高年では、体の水分が不足しやすくなります。暑い季節、子供や中高年はこまめに水分をとるように心がけましょう。そして、普段から運動して、熱中症の予防に努めましょう。 |
水分補給を忘れずに (『経口補水液』って?) | 熱中症になったときは、水だけではなく塩分なども補わなければなりません。スポーツドリンクでは塩分が足りないことがあります。たくさん汗をかいたときのためにバランスよく調整された『経口補水液』を常備しておくと良いでしょう。薬局で入手できます。 熱中症は早く気が付いて、早く対応することが何よりも大切です。水分をとっても頭痛や吐き気がなくならないときは、病院に行くか、救急車を呼ぶことを考えましょう。 500ccの水に砂糖大さじ3杯、塩ひとつまみ、レモン汁大さじ1~2杯でハイポトニック飲料が家庭で簡単にできます。味にお好みがあるでしょうから調節していただけばいいのですが、塩を少量入れることがポイントです。 |
タンパク尿って? | 腎臓は身体の中の水分の量と塩分などの濃さを調節して血圧を一定に保ち、同時に血液中の不要なものをろ過して尿をつくる働きをしています。タンパクは身体にとって大切な成分なので、健康であればほとんど尿には混ざりません。しかし腎臓の働きが悪くなり、ろ過する膜の目が粗くなると、必要なタンパクまで尿に出てしまいます。タンパク尿は激しい運動や高熱などによって一時的に出ることもあるので、病気によるものかどうか、見定める必要があります。 |
高血圧との関係 | 腎臓に病気があると、水分や塩分が身体にたまり、血管が水ぶくれ状態になって高血圧になります。また、腎臓内の血管が細くなったりつまったりして、腎臓に流れる血液の量が減ると、腎臓は身体の水分量が減ったと勘違いして、尿として出すべき水分や塩分を身体にためこみ、その結果血圧が上がり、高血圧になります。腎臓の病気と高血圧は、このような悪循環の関係にあります。 |
人工透析にならないために | むくみやだるさ、食欲低下などの症状が現れたときは、すでに腎臓の病気は進んでいます。悪化すると、自分の腎臓の代わりに働く人工腎臓すなわち「透析」治療が必要になります。検診などで気付いた段階で治療を始めれば、病気の進行をかなり遅くすることができます。初期であれば、腎臓の働きを回復できることもわかってきました。 タンパク尿や高血圧がみつかっても症状がないからといって放置せず、必ずかかりつけの医師に診てもらいましょう。 |
家庭で測る血圧が基本 |
これからの高血圧治療は、家庭で測る血圧が基本となります。医療機関や検診では緊張などにより血圧が高くなってしまいますが、自宅でリラックスして測ると本来の数値に近付き、脳卒中や心筋梗塞などの危険がわかりやすいからです。 自動血圧計は指先や手首で測るタイプではなく、心臓とほぼ同じ高さの二の腕に布(カフ)をまくタイプのものを使うと、より正確に測ることができます。 |
積極的に自宅で測りましょう |
自宅で測る血圧は、朝と晩、それぞれ2回ずつ、5日間以上測りましょう。測る前にはしばらく安静にし、なるべく決まった時刻に測ります。条件を同じにすることで正確な血圧を知ることができます。 血圧の変化が激しかったり数値が高い時は、睡眠不足やストレス、喫煙やお酒の飲みすぎ、降圧薬の飲み忘れなど、思い当たる節がないか見直してみましょう。最大血圧が100mmHg未満となった時には、ふらつきなどの症状がないかチェックして下さい。 |
高すぎる、差がある は、要注意 |
自宅で測る血圧の最大血圧(収縮期血圧)が平均135mmHgを超える時はもちろん、血圧の変化に15~20mmHg以上の差があると、心血管疾患の危険が高くなります。数値が気になる時は、一度かかりつけの医師に相談しましょう。 血圧は健康のバロメーターです。自宅で継続的に血圧を測定して記録をつけ、自分の体の状態に関心を持つことが大切です。 |
若い人に多く見られます |
原因のわかりづらい病気に「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」があります。2つを合わせて「炎症性腸疾患」といいます。潰瘍性大腸炎は大腸が、クローン病は小腸と大腸が、腫れたりただれたりします。 とちらも、欧米人に多いといわれていましたが、最近は日本でも潰瘍性大腸炎が14万人以上、クローン病が3万人以上と増えて来ました。10歳代から30歳代に多い、若い人の病気です。 |
こんな症状が続きます | 潰瘍性大腸炎では、下痢や便に血が混じります。クローン病では下痢に腹痛の重なることが多く、体重が減ったり、熱が出たりします。これらの症状が繰り返し起こる時や、良くならない時はまずかかりつけの医師に相談しましょう。必要な場合は、消化器の専門医の紹介があるでしょう。 |
治療法が進歩しつつあります |
潰瘍性大腸炎では薬物療法、クローン病では絶食や流動食だけにする食餌療法が主な治療法でした。これらの治療法は、副作用がおこったり、普段の食生活をおくれないことが問題でした。 最近では、腫れやただれの原因物質をピンポイントで押さえる薬や、身体の異物と闘うリンパ球の働きを調節する薬、血液中の白血球を取り除く方法などの新しい治療法が開発されています。 どの治療もできるだけ早く始めることが肝心なので、気になる時は迷わず受診しましょう。 |
更年期は、人生の節目 | 女性の更年期とは閉経前後の時期で、年齢では45から55歳頃にあたります。性成熟期から老年期に移りゆく時期で、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少により体にさまざまな変化が起こります。 家庭では親の介護や子供の自立、職場では管理職や定年も視野に入る頃で、周囲からの影響を受け易く、閉経後の30年余を「いかに健康で過ごすか」を考える人生の節目の時期ともいえます。 |
疲れは、更年期障害とは限らないことも | 更年期の体の変化に、生活環境から受けるストレスなどが関わって起こる不調が更年期障害です。本人の性格によってもつらさが違い、個人差があります。 疲れと肩こりが多く、頭痛、のぼせ、冷え、汗をかきやすい、眠れない、イライラ感、気分がしずむ、などの症状があります。ひどい疲れが続く時は、がん、感染症、うつ病、肝臓病、糖尿病、甲状腺機能低下症、膠原病などの重大な病気が隠れていることもあるので注意が必要です。 |
自己判断は禁物、正しい対処を | 更年期障害の心当たりがあるときは、自己判断で市販薬や民間療法に頼らず、かかりつけの医師に相談しましょう。必要な時には婦人科や女性外来などを紹介してもらえます。他の病気と似た症状があれば、複数の診療科で受診が必要な場合もあります。 まずは、生活習慣や生活環境を改善することが基本ですが、つらい時は薬を使って治療することもあります。 |
思春期 女性ホルモンの分泌が7歳頃から始まる。10~12歳で初経を迎える。 性成熟期 女性ホルモンがもっとも活発な20~30代。妊娠・出産にも関わる時期。 更年期(45~55歳頃) 女性ホルモンが急激に減少し、閉経を迎える。 老年期 さまざまな更年期の症状も徐々に安定。 |