子宮頸癌は、日本人の人口10万人あたり25人の発病率で婦人科性器癌では最も多く、乳がんの77人と比べれば少ないものの、20~30歳台では、乳がんの倍の罹患率です。その原因はほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)です。性行為によりHPVは感染しそれを何度も繰り返すことにより、前癌病変・子宮頸癌と進んでいきます。全女性の80%は一生に一度はHPVに感染します。
HPVの中でもいろいろな型があり、特に16と18型は子宮頸癌になりやすいハイリスクの型です。子宮頸癌ワクチンはその2つの型の子宮頸癌を92~100%予防できます。しかし、その他の型による子宮頸癌もあるので、日本人の70~80%の子宮癌を予防できます。
ワクチンを受ける年齢は、HPV感染の前がいいので“初体験前”が一番効果的です。10歳から受けることが出来るので、中学生のうちに接種するのが理想的です。しかし、それ以上の方でも、HPV感染前なら効果が高いこと、もし過去にHPV感染があっても、2度目3度目の感染を予防できるので、充分効果は期待できます。HPV感染から子宮頸癌になるまで数年から10年かかるとされていますから、55歳位までが対象と考えていいと思います。接種は3回必要で、1回目を接種した1ヶ月後に2回目、2回目を接種した5ヵ月後に3回目を接種します。
ワクチンは自費で1回目は19,440円(税込)、2回目・3回目は17,280円(税込)です。3回合計で、54,000円(税込)かかり、かなり高価なワクチンとなります。
子宮癌検診で異常を指摘され、精密検査で異型上皮と診断されて、定期的に検査を受けている方もいると思います。残念ながら、ワクチンは異型上皮を治す作用はありません。しかし理論上は、異型上皮から子宮頸癌へすすむことを遅らせたり、止めたりする可能性はあります。将来、データが集まれば明らかになると思いますが、ワクチンを受けて損はないと思います。
ワクチンを受ければ16.・18型による子宮癌はほぼ予防できますが、その他の型による子宮癌がありますので、20歳を過ぎたら、年1回子宮癌検診は受けるようにしましょう。ワクチンを受ければ検診は必要ないという訳ではありません。