“更年期”とは、生理がなくなる時期(閉経)の前後の期間をさします。日本人の閉経の平均は51才ですので、その前後で45~55才位を更年期と呼びます。しかし、実際閉経する年齢は個人個人で異なりますので、更年期の時期は個人で異なります。更年期自体は、誰もが閉経を迎えますので全員が持つことになります。
しかし、その時期に自律神経失調の症状をだすものを”更年期障害”といいます。自律神経は体のいろいろな部分に作用していますので、様々な症状がでます。頻度の高いものからあげますと、表の1のようになります。本当に様々で、びっくりするほどの多彩な症状です。軽い症状であれば、全女性の75%が感じているとされています。その内、生活に支障をきたすほどひどいもの(中等度以上)は、10%位の方があてはまり、治療の対象となります。
これらの、症状は他の病気でも起こります。もちろん、動悸は心臓の病気で、めまいは耳鼻科の病気でおこりえます。そして、意外に多いのはストレス病やうつ病などの精神科の病気です。当院では最初の心理テストで、ある程度原因を知ることができます。しかし、最も簡単な方法は、(1)ホルモン測定(採血)(2)ホルモン剤を2週間内服する、ことです。本当に更年期障害なら、1週間ほどでドラマチックに症状が改善します。逆に更年期障害でなければ、全く症状は改善されません。ホルモン剤は、長期にのんでもきちんと検査を受ければ安全ですし、2週間の短期服用なら副作用はまずありません。まれに、胸がはったり、不正出血がある方がありますが、それは、ガンとは全く関係ありません。 治療法で、最もすすめられる方法はホルモン補充療法です。しかしこれは、既に乳ガンになったことのある人や、血栓症の既往のある方には行えません。また、漢方や安定剤などの他の方法もあり、治療効果も個人個人でちがうので、治療法はよく先生と相談しましょう。