HPV(ヒトパピローマウィルス)は皮膚や粘膜に感染するウィルスで100種類以上の種類があります。その内の約15種類は子宮頚癌の原因となっていて、発がん性HPVと呼びます。具体的にはHPVの16・18・31・33・35・39・45・51・52・55・58・59・68型をさし、その型のウィルスがいるかどうかを調べるのが、HPVハイリスク検査です。
HPVはSexで感染しますが、日本女性の80%以上が、一生に一度は感染する、よくあるウィルスで、いわゆる性病とは違います。一度感染しても、90%以上は自然に消えて(自然消退して)問題を起こしませんが、長期にわたり子宮頚部に居続けたり、消退しても再感染を繰り返すことにより、癌化します。
従って、HPV検査が陽性であっても、すぐ癌になっているわけではありません。20代の日本人女性の約50%は陽性になる検査で、その内、実際癌になるのは1000人に1人であり、HPVに感染して癌になるには数年から十数年かかります。
では、検査結果をどのように考えればいいのでしょうか。具体的にあげてみましょう。
① 細胞診:異常なし HPV(-)
子宮癌の可能性は非常に低いばかりか、すぐに癌になる可能性は低く、毎年両方の検査をすれば、2年後の検査でいいです。しかし、HPV検査は5年に1度だけなので、癌検診は毎年受けた方がいいです。
② 細胞診:異常なし HPV(+)
現時点では癌の可能性は低いのですが、原因のウィルスがいるので、特に毎年、子宮癌検診を受けましょう。HPVを治療する必要もありませんし、治療薬もありません。
③ 細胞診:ASC-US(異型上皮の疑い) HPV(-)
異型上皮の可能性は低く、年1回の癌検診でOKです。
当院では念のため6ヶ月毎に3年間検査しています。
④ 細胞診:ASC-US(異型上皮の疑い) HPV(+)
異型上皮の可能性が高く精密検査が必要です。コルポスコピーや組織診の検査を受けましょう。
⑤ 細胞診:異常あり HPV(-)
細胞診:異常あり HPV(+)
いずれも、細胞診に異常がある場合は癌や前癌病変(異型上皮)の可能性が高く、HPVの結果にかかわらず、精密検査が必要です。コルポスコピーや組織診の検査を受けましょう。