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皮膚科・スキンケア

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ワンちゃんのかゆい皮膚病をどうコントロールするか?

皮膚のトラブルを抱えているワンちゃんは非常に多いです。皮膚病は動物病院を受診する理由の常に上位に入る疾患です。しかも皮膚病がなかなかよくならないケースも多く、そういったワンちゃんは「アトピー」や「アレルギー」と診断されることがほとんどだと思います。

しかし、その診断名は本当にあっているのでしょうか?

ステップ1:まず感染症をコントロールする

治らない皮膚病が必ずしもアトピーやアレルギーとは限りません。まず第一に疑わなければならない原因は、感染症です。アトピーやアレルギーに感染症が合併して起きている場合もありますし、適切に感染症が治療されていないがために起きるケースもあります。

 

感染症は、寄生虫の感染、真菌(カビ)の感染、細菌の感染、の3つに大きく分けられます。

寄生虫で皮膚に感染するもののうち、マダニ、ノミ、シラミは肉眼で見てわかりますし、駆除は容易です。動物病院で処方されるノミダニ駆除剤を塗布することで駆除・予防ができます。また、内服のノミダニ駆除薬はシャンプーを頻繁にするワンちゃんに効果的です。アレルギー性皮膚炎の原因の1つにノミがありますので、ノミダニ駆除剤の定期的な塗布がまず皮膚病の診断と治療の第一歩です。

 

次に肉眼に見えない寄生虫が原因の場合です。これはよく見逃されることがあります。必ず皮膚の検査をしなければ見つかりません。えいひとよばれる器具やメスの刃で皮膚の表面をカリカリとはぎとって顕微鏡で病原体がいないかをチェックします。この場合、問題となるのは、ヒゼンダニ(疥癬)ニキビダニ(アカラス、毛包虫)です。ヒゼンダニは接触感染でうつり、皮膚にトンネルを掘って産卵するためはげしい痒みを出します。一方、ニキビダニは正常な皮膚の毛穴にも少数寄生していますが、皮膚の免疫トラブルにより過剰増殖して皮膚炎の症状を出します。どちらもフィラリア予防薬にも使われる駆虫剤を使って駆除しますが、フィラリア予防に使う用法・用量とは異なります。また発見が難しい場合もあるため、「診断的治療」といって駆虫剤を投与して反応を見る場合もあります。実際、ヒゼンダニ感染やニキビダニ感染がアトピーと誤診されることがあるため、その可能性を排除するために診断的治療は大きな意味があります。

 

最も皮膚病で多い原因は、真菌感染細菌感染です。皮膚病の原因となる真菌には、ほかの動物から感染する皮膚糸状菌と皮膚常在菌のマラセチアがあります。また皮膚の細菌感染で最も多いものは、皮膚常在菌であるブドウ球菌です。皮膚常在菌であるマラセチアとブドウ球菌の過剰増殖が、多くの皮膚病に併発して症状を悪化させているケースが多いため、これらの確認をすることが重要です。皮膚表面にセロハンテープを貼り付け、それを染色して顕微鏡で観察することでマラセチアとブドウ球菌を確認することができます。これらが確認されたら、マラセチアに対しては抗真菌剤を、ブドウ球菌に対しては抗生物質を最低2-3週間しっかり服用することで、これらの増殖を抑えることができます。ただし、以前から何度も抗生物質の治療を受けている場合には抗生物質が効かなくなっていることもあるため、状況によっては薬を変更したり、どの薬が効くかを調べる検査を行うこともあります。なお、皮膚糸状菌は毛の中を好んで増殖するため、毛を抜いて顕微鏡で確認したり、特殊なライトで毛が光るかどうか確認したり、毛の培養検査を行うことで皮膚糸状菌の有無を確認します。治療法は抗真菌剤を長期に服用することです。

 

多くの皮膚病では細菌感染やマラセチア感染が合併しているので、これらをコントロールすることでかゆみや炎症はかなり軽減するはずです。逆にいえば、合併している感染症を放置したまま、アトピーやアレルギーの治療やスキンケアをおこなってもよくなるはずもないのです。様々な原因で皮膚のコンディションが悪くなっているワンちゃんにとって、感染症が再発することはよくあることです。その都度、適切な薬物治療が必要になりますので、獣医師の指示をしっかり守って薬を服用してください。

ステップ2:食事アレルギーを除外する

感染症を抑えてもなおかつ痒みと赤みがある場合は、アトピーやアレルギーを疑います。「アトピー」とは、生まれつき皮膚のバリア機能がうまくできていないために起きる病気です。バリアが低下した皮膚のすきまから環境中の物質(抗原)が入り込むことで免疫細胞が過剰に反応して、アレルギー反応が起きると、「アレルギー性皮膚炎」となります。よってアトピーとアレルギーはほぼ同義語として使われることが多いですが、アトピーは環境中のアレルギー物質が原因であるのに対して、アレルギー性皮膚炎はそれ以外の原因も含みます。

環境中以外のアレルギー物質として代表的なものが、ノミ、マラセチア、そして食物です。ノミとマラセチアは感染症ですので、食事アレルギーについて説明したいと思います。

 

食事アレルギーは、食物中のタンパク質がアレルギー物質として反応して、皮膚にかゆみや赤みを出します。タンパク質の構造は食物の原料によって異なるため、たとえば牛肉のタンパク質にアレルギー反応が出る場合は牛肉アレルギーということになります。なお食事アレルギーとアトピーを見た目で区別することは困難です。環境中からアレルギー物質を見つけ出してそれを完全に取り除くことは難しいですが、食事中からアレルギー物質を取り除くことは不可能ではありません。

 

では、アレルギー物質をどうやって見つけ出すかですが、これはアレルギー物質を除いた食事を食べて症状が消失するのを確認することに尽きます。この診断を除去食試験といいます。動物病院にはアレルギー源の可能性が少ない特定の原料のみで作られたフード(新奇タンパク食)や、アレルギー物質となるたんぱく質そのものを化学的に分解したフード(加水分解食)、さらにはタンパク質を一切含まないフード(アミノ酸食)があります。それらのうちのどれかを1-2ヶ月間、ワンちゃんにそのフードと水のみで生活してもらいます。それで症状がなくなる、あるいは軽減したら、そのワンちゃんには食事アレルギーがあることがわかります。さらにその後、アレルギーの原因と考えられる食材(たとえば牛肉、卵、鶏肉など)を1種類ずつ、そのフードに加えていって症状が再発すれば、アレルギー物質を特定することができます。これを再暴露試験といいます。

 

除去食試験は判定に最低1ヶ月はかかりますし、特殊なフードしか食べてはダメですので、時間と労力と費用を要する検査です。しかし、これで食事アレルギーがあることがわかれば、その後はその食材以外を食べていれば皮膚炎を良好にコントロールできるはずです。また、アレルギー源がない加水分解食やアミノ酸食を食べたが症状が改善しなかったら、食事アレルギーではないのであとはどんな食事を食べてもかまわないということになります。除去食試験はアトピーか食事アレルギーかと見極めるために必ず実施したい検査です。

食事アレルギーを診断するもうひとつの方法として、血液検査(血清IgE検査)があります。ただし、これは次に説明するアトピーもそうですが、血液検査で陽性という判定が出ても、血液中にその物質に対応したアレルギー反応に関与する抗体(IgE)が存在するだけで、本当にアレルギー源かどうかはわからない、という問題があります。とくに食事アレルギーはIgEを介さないアレルギー反応でも起こるため、血清IgE検査では確定診断できないことがわかっています。リンパ球反応検査という特殊な血液検査を組み合わせることによって診断精度を上げることはできますが、最も確実な方法は除去食試験なのです。

ステップ3:アトピーを疑う

食事アレルギーの診断として除去食試験を実施しても、かゆみと赤みが残るとき、ここではじめてアトピーを第一に疑います。これ以前にステロイドを使用すると診断がわかりにくくなるので本来は使うべきではありません。かゆみや炎症が強いケースではそれらを抑えるために短期的に使用することもありますが、漫然とステロイドを使うことは診断をわかりにくくするとともに、さまざまな副作用が出てくるため好ましくありません。

アトピーにはいくつかの特徴があります。まず3~4歳までに症状が出ること、左右対称に皮膚炎が出現し、おもに目の周り、耳、腹部、手足、陰部まわりに症状が出ること、季節的な症状の改善と悪化(多くの場合、夏場に悪化)を繰り返しながら、年とともにひどくなっていくこと、などです。食事アレルギー性皮膚炎とのちがいは季節的な症状の変化があることと、アトピーはステロイドへの反応が大変よいことが挙げられます。

アトピーは、現在では皮膚のバリア機能が弱まることで起こることがわかっています。犬のアトピーでは皮膚の水分保持力が低下したり、セラミドの量が低下していることがわかっています。皮膚のバリア機能が低下した結果、環境中のアレルギー物質が皮膚の中に入り込んでアレルギー反応が起こるようになります。

アトピーの診断はこの皮膚の中で起きるアレルギー反応を証明することです。よってアレルギーの疑いのある物質(抗原)を皮膚の中に注入してアレルギー反応を確認する皮内反応という検査が最も確実な検査といえます。ただし、犬では毛を広く剃らないとできないことや注射してもよい安全な抗原を手に入れることが難しいことから、一部の大学病院や専門病院でしか実施できません。一方、血液検査(血清IgE検査)は広く行われていますが、IgEがあるからといってそれがアトピーの原因かどうかを証明したことにはならないため、アトピーの確定診断とはなりません。また血清IgE検査を行う検査機関のなかにも陽性が出やすく設定されているもののあり、注意が必要です。なお、一部ペットショップで行われている毛を使ったアレルギー検査は全く科学的には根拠はありません。

 

アトピーの治療は、炎症とかゆみをとめることがメインとなります。最もよく使われるのはプレドニゾロンというステロイドの内服薬です。ヒトのアトピー治療は外用薬がメインですが、犬には毛があることと薬をなめてしまうことから、ステロイドの塗り薬は使い方が限定されていますが、スプレータイプのステロイド剤を用いる場合もあります。ステロイドは少量でかゆみを抑えることができるため、副作用を減らすためにも量は最小限にとどめ、また漫然と使わないことがポイントです。アトピーは免疫の過剰反応ですから、免疫抑制剤を使用した治療も有効です。シクロスポリンの内服薬やタクロリムスの軟膏薬を使うことがあります。また最近、痒みの伝わりを抑える分子標的薬(「アポキル」)も発売されてアトピー治療の選択肢が増えました。さらに免疫調整作用があるインターフェロンの注射を使うこともあります。さらに、抗原を少量ずつ投与する減感作療法という特殊な治療法もあります。ただし、免疫抑制剤やインターフェロン、減感作療法はすべてのケースに効くわけではなく、また高価なため、あくまで治療の主体はステロイドになります。

これ以外に、補助的に抗ヒスタミン剤や炎症物質を抑えるとされているオメガ3脂肪酸を含むサプリメントなどを併用することで、ステロイドの使用量を減らすことができることがあります。もちろんアトピーの発症に関与しているアレルギー物質との暴露を極力控える対策も重要です。ただしアトピーは基本的に治癒する病気ではないので、うまくつきあっていくことが必要です。様々な治療を併用しながら、かゆみを許容できるレベルにまで抑えることが大事です。かゆみをゼロにするためには、大量のステロイドが必要になりますし、結果的に副作用が出ることになります。

ステップ4:スキンケアで皮膚コンディションを維持する

さらに、アトピーを引き起こす環境中のアレルギー物質をできる限り皮膚から洗い流し、アレルギー物質が皮膚のなかに入り込まないような皮膚のバリアを補うために欠かせないのがスキンケアです。スキンケアは、皮膚に有害な物質を洗い流す過程と、皮膚に有益な物質を補う過程からなります。前者はシャンプーを適切に行うことになりますが、一般的なワンちゃん用のシャンプーの成分の中には皮膚に有害な成分が含まれているものがあります。さらに皮膚病の治療に使われる薬用シャンプーの多くは、皮膚にとって刺激性や毒性がある消毒成分や脱脂成分、また洗浄力が弱いものもあるため、必ずしも薬用シャンプーが有効でないケースもあります。よって、シャンプーはしっかりとした洗浄力があって、なおかつ安全な成分でできたものが望ましいといえます。またワンちゃんのシャンプーは毛を洗うのではなく、皮膚を洗うことが重要ですので、よく泡立てたシャンプーで地肌を軽くマッサージするように洗い、その後しっかりとすすぐことが大切です。

 

シャンプーの後は、皮膚に有益な物質を補う過程です。アトピーの患者はセラミドや皮膚の水分保持成分が低下していることが証明されていますので、それらを補って正常な皮膚のバリアに近づけることが理論的には正しいはずです。洗顔した後に化粧水をつけるように、アトピー肌のワンちゃんの皮膚にはシャンプー後に保湿剤を塗布することが有効です。薬用シャンプーの中にはシャンプー中に保湿成分を含むものもありますが、保湿成分だけでなく洗浄成分も皮膚に残留してしまうので、皮膚に悪影響が出る可能性がありますので、分けておこなうほうがよいでしょう。

シャンプーと保湿剤を用いたスキンケアを継続的に実施することで、皮膚トラブルを起こしにくい皮膚環境を維持し、それでも赤みやかゆみが出た場合は適切な薬物療法を行うことで、進行性皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎の増悪を食い止める。さらにオメガ3脂肪酸などを含む食事やサプリメントを摂取することで体質改善も図る。これが現在考えられる最善のアトピー性皮膚炎の管理方法です。

ステップ5:アトピー/アレルギー以外の皮膚のコンディション悪化の要因を考える

繰り返し皮膚のトラブルを引き起こす原因は、アトピーやアレルギーだけではありません。

もっともやっかいなものは角化症/脂漏症です。これは皮膚のターンオーバーや皮脂腺の分泌が生まれつきアンバランスなためにフケやかゆみが出てしまい、マラセチアや球菌が繁殖しやすくなります。こまめにシャンプーして過剰な皮脂やフケを洗い流してあげることが重要で、頑固な皮脂を落とすためにシャンプー前にクレンジングを行うことが有効なケースがあります。

皮膚のコンディションを決定づけるものの1つに、食事中の栄養素があります。とくに手作りフードのみで飼育しているワンちゃんは亜鉛が欠乏しやすく、フケが大量に出るようになることがあります。手作り食は微量なビタミンやミネラルが不足しがちなので、注意が必要です。

中年齢をすぎたワンちゃんが急に皮膚のコンディションが悪くなる原因のひとつに、ホルモンのアンバランスがあります。甲状腺ホルモンが不足したり、副腎皮質ホルモンが過剰になったり、性ホルモンのアンバランスがあったりすると、毛の成長が止まり、左右対称性の脱毛が出てきます。ホルモンの失調自体では皮膚にかゆみや赤みはでませんが、コンディションの悪化によってマラセチアや球菌が増殖しやすくなり、問題を起こすことがあります。ホルモンの病気は血液検査やレントゲン検査、超音波検査などで診断を行ったのちに、的確な治療を実施すれば皮膚の問題も解決するはずです。

それ以外にもいろいろな皮膚の病気はあります。たとえば皮膚の構成成分を免疫細胞が間違って攻撃してしまう自己免疫疾患や、皮膚のガンなどです。皮膚科診察では、通常とは異なる皮膚の病気を疑った場合、病変部を一部切り取って専門の検査機関に診断してもらう病理検査を実施することが一般的です。

最後に

皮膚病の診断は、よくある病気、治療しやすい病気から順番に疑って、診断を兼ねた治療を行っていく診断的治療や除外診断を積み重ねて確定診断にたどりつきますので、時間と労力がどうしてもかかります。また完全に治癒する病気ばかりではないので、病気とうまくつきあっていくことが必要になることもあります。ワンちゃんの皮膚コンディションに応じたスキンケアが有効なケースが多いので、当院ではシャンプースキンケア指導を積極的に実施しております。

 

まずはお気軽にお電話にてご相談下さい。029−875−3669

* 当院にはじめて受診される方へお願い *

皮膚科の診察は、初診時にこれまでの経過や薬の投与歴、シャンプーの回数や食事の種類などについて詳しく問診を行い、その後に皮膚検査を実施します。

検査の結果や今後の診断治療についての説明も含めて、初診時は診察に30分〜1時間程度かかりますので、なるべく事前の診察予約をお願いいたします。

また可能であれば、これまで服用した薬や外用薬、シャンプーの実物を持ってきていただけると大変助かります。診療明細書や検査結果もあわせてお持ちください。

皮膚病は1回の診察でよくなることはほとんどありません。何度か通院していただく必要がありますし、食事の変更やシャンプーをお願いすることがあります。

大事なワンちゃんの皮膚病をよくするためには、飼い主様の協力は欠かせませんので、ご理解のほどをよろしくお願いいたします。

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